元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
 まさか、こんな人生を左右する選択肢を提示されるとは思わなかった。転職するだけなら私の個人的な事情で済まされるけど、千秋さんの人生が関わってくる選択なんて……。

 ん? あれ? 待って。この人そのあと何て言った?
 プロポーズ???

 私が混乱する頭をどうにか整理しようとする中、千秋さんは穏やかな顔で話を続けた。

「君が仕事を好きなのはよく知ってる。だから、向こうでも知り合いの会社のツテで君に合う仕事を紹介しようと思ってるよ」
「……英語、しゃべれないんですけど」
「君なら3ヵ月あれば話せるよ。いい経験になると思うけど、どうだろう?」
「……そう、ですね。千秋さんが一緒なら安心だし」
「そうだろ。じゃあ」
「ちょっと待って!」

 彼はあとで付け加えたセリフについてさらっと流そうとしている。
 私はそれをはっきりしておきたくて、おずおずと訊ねた。

「あの、プロポーズって……」

 すると彼はにっこり笑って返答した。

「俺が紗那に結婚を申し込んでいるということだ」

 ですよね。そうだよね。
 だけど、あんまり急展開すぎて頭がついていかない!!

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