元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
「今からでもぜんぜんいいよ」
「何がですか?」
「わかっているくせに」

 彼はベッドに腰を下ろしてわざわざ顔を近づけてきた。
 なので、少しあとずさりする。

「でも、今何時……」
「朝の5時。まだいいだろ?」
「ええっと、会社行かなきゃ」
「休めよ」
「他人事だと思ってそんなことを!」

 あなたの仕事については知りませんが、私は今まさにやるべきことが山ほどあるんですよ。
 などとこちらのことを言っても仕方がない。

「すみません。酔った勢いでいいやって思ったんですけど、冷静になってみたら私まだ彼氏と別れてないんです。これ不貞になりますよね?」
「未遂だよ。まあ、今からクロにしてもいいけどね」
「いやいや、帰ります。いろいろ整理しなきゃいけないこともあるし」
「そっか、残念だな」

 うん? やっぱりこの人やりたいだけなんじゃ……?

 結局、彼とはその場で別れ、私はひとり駅に向かって歩いた。
 夜明け前の薄暗い空を見上げながら、これから起こるだろう面倒事を想像したら頭痛がした。
 いや、この頭痛は二日酔いだ。

 でも、なんか、気持ちは晴れ晴れしていた。

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