元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
 あっけらかんとそう言う優斗に、私はついに声を荒らげた。

「ごめん。同居はしたくない」

 優斗は不機嫌な顔になった。

「最近の紗那、ちょっとおかしいよ。あ、わかった。マリッジブルーだろ? 女って結婚前にそうなるらしいから」

 えっ、何言ってんの? こいつ。

「俺は何も紗那に専業主婦になれって言ってるわけじゃない。紗那がやりたいことを自由にさせてやるんだよ。それに、同居すれば母さんが家事も料理もしてくれるって言ってるだろ? こんないい話ないじゃん」

 ダメだこいつ、何もわかっていない。

「あのね、義理の親と一緒に暮らして自由にできると思う? ちなみに聞くけど、あなたは私の両親と一緒に暮らして自由にしようなんて思えるの?」

 優斗はスプーンで目玉焼きをすくって口に頬張る。いつもの癖だ。

「俺は別に気にしないよ。紗那の両親がいても。まあ、同居は勘弁だなあ。俺は男だし」
「男とか女とか関係ないでしょ?」
「あるよ。俺は長男だし、家を継がなきゃいけないんだから」
「いつの時代よ!!」

 昭和かよ! 今は令和だよ!

 ついぶち切れて叫んでしまった。
 優斗はそそくさとテーブルから離れてトイレに駆け込む。

「紗那、イライラすんなよー。もしかして生理?」
「バカ!!」

 ああ……私、本当にこの人と結婚してもいいのかな?

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