元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
「紗那、大丈夫?」

 美玲と数人が降りてから、エレベーターの扉が閉まった。
 その際、乃愛はにんまり笑っている顔が見えてゾッとした。

「あの子にやられたの?」
「うん……そうみたい」
「あの子、もしかして山内くんの……」
「浮気相手」

 痛む膝を押さえながらどうにか立ち上がる。
 膝は少し赤く腫れていたけどひどい怪我はしていない。
 ただ、人の前で派手に転んだことが恥ずかしくてたまらない。

「わざわざ挑発してくるなんてセーカク悪っ!」

 美玲はの乃愛が立ち去った方向を睨みつけながら言った。

 本当に何なんだろう。
 私は別れたのだからもう関係ないのに、なぜあんな嫌がらせをするのか意味わかんない。

「あの子の部署知ってるわよ。言いつけてやろっか?」
「いいよ。どうせしらばっくれるに決まってる。関わらないようにするから」
「それがいいわ。あたしがいるときは守ってあげるよ」
「ありがと」

 乃愛に会わないようにすればいい。
 そう思っていたのに、彼女はさらにとんでもないことをしてきたのだった。

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