新そよ風に乗って 〜慕情 vol.2〜
「そんなぁ。 教えて下さい。 高橋さん」
「どうしようかなぁ? お前が頑張って、 もう少し良くなったら教えてやるよ」
「ケチンボ……」
小さい声で言ったつもりが、 聞こえていたらしい。
「だって俺、 ケチケチ貴ちゃんだもん」
ケチケチ貴ちゃんって……何それ?
思わず呆れ顔で、 高橋さんを見上げた。
エッ……。
高橋さんが、 乱れた私の前髪を掻き分けてくれる。 そして、 無意識にまた目を瞑ってしまう。 そんな私の頬に、 高橋さんは静かに触れるか触れないかぐらいのキスをした。
驚いて真上にいる高橋さんを見上げると、 何故か高橋さんはサッと目を逸らしてしまった。
どうしたんだろう?
少しだけ不安な気持ちになりながら、 高橋さんをジッと見ていた。
「フッ……。 これじゃ、 エロ医者の事言えないな」
「高橋さん?」
そして、 また直ぐ視線を戻すと右手で私の左頬に触れた。
「お前だけは、 巻き込みたくなかった。 それなのに、 こんな事になってしまって」
「高橋さん……」
そう言うと、 高橋さんは哀しそうな瞳をしながら、 私の頬を伝い出した涙を拭ってくれている。
「本当に、 申し訳ないと思っている」
黙って首を横に振っていると、 高橋さんが両手で私の頬を包み込んだ。
「高橋さん。 私は……」
ん? というような表情を浮かべて、 高橋さんが小首を傾げながらこちらを見た。
「私の知らない高橋さんの昔を知る事が……少しでも出来たから。 だから……」
本当は、 そんな軽い問題ではない。 でも今の高橋さんにとって、 私のこの状態は……。 本来、 倒れたのも私自身がいけなかったから、 こんな事になってしまったのに。 高橋さんのことだから、 きっと自分のせいだと思ってしまっているかもしれない。 だとしたら……ほんの僅かながらも好奇心と野次馬根性的な部分も、 自分自身にあったことも事実。 結果として、 高橋さんとミサさんのとても辛い過去を知る事になってしまった。 それでも、 高橋さんの気持ちを少しでも軽くしてあげたいという、 おこがましさから出た言葉だった。
「どうしようかなぁ? お前が頑張って、 もう少し良くなったら教えてやるよ」
「ケチンボ……」
小さい声で言ったつもりが、 聞こえていたらしい。
「だって俺、 ケチケチ貴ちゃんだもん」
ケチケチ貴ちゃんって……何それ?
思わず呆れ顔で、 高橋さんを見上げた。
エッ……。
高橋さんが、 乱れた私の前髪を掻き分けてくれる。 そして、 無意識にまた目を瞑ってしまう。 そんな私の頬に、 高橋さんは静かに触れるか触れないかぐらいのキスをした。
驚いて真上にいる高橋さんを見上げると、 何故か高橋さんはサッと目を逸らしてしまった。
どうしたんだろう?
少しだけ不安な気持ちになりながら、 高橋さんをジッと見ていた。
「フッ……。 これじゃ、 エロ医者の事言えないな」
「高橋さん?」
そして、 また直ぐ視線を戻すと右手で私の左頬に触れた。
「お前だけは、 巻き込みたくなかった。 それなのに、 こんな事になってしまって」
「高橋さん……」
そう言うと、 高橋さんは哀しそうな瞳をしながら、 私の頬を伝い出した涙を拭ってくれている。
「本当に、 申し訳ないと思っている」
黙って首を横に振っていると、 高橋さんが両手で私の頬を包み込んだ。
「高橋さん。 私は……」
ん? というような表情を浮かべて、 高橋さんが小首を傾げながらこちらを見た。
「私の知らない高橋さんの昔を知る事が……少しでも出来たから。 だから……」
本当は、 そんな軽い問題ではない。 でも今の高橋さんにとって、 私のこの状態は……。 本来、 倒れたのも私自身がいけなかったから、 こんな事になってしまったのに。 高橋さんのことだから、 きっと自分のせいだと思ってしまっているかもしれない。 だとしたら……ほんの僅かながらも好奇心と野次馬根性的な部分も、 自分自身にあったことも事実。 結果として、 高橋さんとミサさんのとても辛い過去を知る事になってしまった。 それでも、 高橋さんの気持ちを少しでも軽くしてあげたいという、 おこがましさから出た言葉だった。