新そよ風に乗って 〜慕情 vol.2〜
何事もなかったように高橋さんは、 私にパスポートとチケットを返してくれた。
受け取って、 慌ててチケットの内容を確認する。
「高橋さん。 これ……」
「ん? ああ。 普段だとハワイ便はビジネスどまりが多いんだが、 ゴールデンウィークだからファースト備えている機材便も飛んでいるらしい」
チケットの縁取りカラーも違う。 そこには、 ファーストクラスの表示。
「私、 本当に無理です。 今からエコノミーに席を換えてもらえないですか? いえ……私だけでいいんですけど」
もう、 必死に懇願した。 明良さん達も含め、 高橋さん達に付き合っていると、 幾らお金があっても足りない。 そんな生活、 私には出来ない。 明日から、 1日1食にしても1ヶ月暮らせない。 高橋さん達みたいに、 そんな高給取りではないもの。
そもそも、 ファーストクラスだなんて、 何回エコノミークラスに乗れる金額だか。 貧乏性の私からすれば、 勿体ない。 その分、 ショッピングにまわしたい。 今は、 チケット代にそんな大金を注ぎ込めない。 否、 この先も……。
「いいから、 落ち着け。 お前の言いたい事は、 わかったから」
えっ?
私のあまりの慌てぶりに、 高橋さんが静かに言った。
我に返って、 リアルに現実を直視して先行き不安になりながら、 何度も高橋さんに同じセリフを言っていたらしい。
「フッ……。 料金は、 心配しなくていい」
「良くないです。 そ、 そんなことだったら私……行かれませんから」
ここは譲れないので、 毅然とした態度で高橋さんを見上げた。
「あのさ……その志と配慮は有難いんだが、 このアップグレードをやったの、 俺じゃないから」
「えっ?」
高橋さんは、 そう言いながらチョロッと舌を出した。
「あ、 あの、 どういう事ですか?」
「だぁかぁらぁ! 俺の兄貴は、 旅行会社だって言っただろ?」
本意ではないが、 高橋さんの言葉にゆっくり頷いた。
「さっきエコノミーのカウンターに行ったら、 兄貴から連絡が入っていたらしくて、 席がちょうど空いていたから、 向こうでチケットをファーストにチェンジしてくれたらしい」
「ええっ?」
高橋さんのお兄さんが……。
受け取って、 慌ててチケットの内容を確認する。
「高橋さん。 これ……」
「ん? ああ。 普段だとハワイ便はビジネスどまりが多いんだが、 ゴールデンウィークだからファースト備えている機材便も飛んでいるらしい」
チケットの縁取りカラーも違う。 そこには、 ファーストクラスの表示。
「私、 本当に無理です。 今からエコノミーに席を換えてもらえないですか? いえ……私だけでいいんですけど」
もう、 必死に懇願した。 明良さん達も含め、 高橋さん達に付き合っていると、 幾らお金があっても足りない。 そんな生活、 私には出来ない。 明日から、 1日1食にしても1ヶ月暮らせない。 高橋さん達みたいに、 そんな高給取りではないもの。
そもそも、 ファーストクラスだなんて、 何回エコノミークラスに乗れる金額だか。 貧乏性の私からすれば、 勿体ない。 その分、 ショッピングにまわしたい。 今は、 チケット代にそんな大金を注ぎ込めない。 否、 この先も……。
「いいから、 落ち着け。 お前の言いたい事は、 わかったから」
えっ?
私のあまりの慌てぶりに、 高橋さんが静かに言った。
我に返って、 リアルに現実を直視して先行き不安になりながら、 何度も高橋さんに同じセリフを言っていたらしい。
「フッ……。 料金は、 心配しなくていい」
「良くないです。 そ、 そんなことだったら私……行かれませんから」
ここは譲れないので、 毅然とした態度で高橋さんを見上げた。
「あのさ……その志と配慮は有難いんだが、 このアップグレードをやったの、 俺じゃないから」
「えっ?」
高橋さんは、 そう言いながらチョロッと舌を出した。
「あ、 あの、 どういう事ですか?」
「だぁかぁらぁ! 俺の兄貴は、 旅行会社だって言っただろ?」
本意ではないが、 高橋さんの言葉にゆっくり頷いた。
「さっきエコノミーのカウンターに行ったら、 兄貴から連絡が入っていたらしくて、 席がちょうど空いていたから、 向こうでチケットをファーストにチェンジしてくれたらしい」
「ええっ?」
高橋さんのお兄さんが……。