新そよ風に乗って　〜慕情 vol.2〜
「Hi! Miss, YOKO」
｢明良さん！」
すると、　助手席のドアも開いて、　もう1人見覚えのある人が姿を現した。
「お疲れ、　貴博。　荷物、トランク入れるだろ？」
「ああ」
「仁さん……」
「陽子ちゃん。　こんにちは……っていうか、　おはよう……だね」
そう……その車には、　明良さんと仁さんが乗っていた。
「あの、　何でいらっしゃるんですか？」
お約束のような、　間抜けな質問をしてしまう。
「チケットの関係で、　先に俺達は昨日から来ていたんだ」
「そ、　そうだったんですか」
高橋さん。　何も言ってくれなかったから、　知らなかった。
「もしや？　その顔だと、　陽子ちゃん。　貴博から聞いてなかったんだね」
トランクに荷物を積みながら、　話しかけてくれた仁さんの問いに大きく頷きながら高橋さんを見ると、　何事もなかったようにトランクに荷物を積んでトランクの扉を閉めた。
そうだったんだ。　興奮冷めやらぬうちにハワイに着いた途端、　また驚かされてしまった。　でも、　明良さんにも仁さんにも会えて嬉しい。　しかも、　ハワイでなんて素敵過ぎる。　入院していた時のお詫びやお礼も言いたいし……何だかハワイについて開放感からか、　ワクワク感が堪らない。

< 26 / 112 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop