新そよ風に乗って 〜慕情 vol.2〜
エッ……。
高橋さんの視線の先を追って、 ミサさんもこちらを見た。
「全く関係のない人間を巻き込み、 ましてや弱っている人間を惑わし、 苦しめるような事はどう考えても言えないはずだ。 この際、 はっきり言っておく。 俺は、 この先も君の思い描いているような事を承諾するつもりはない。 そして、 それは彼女のせいでもない。 俺自身の意志だ」
そう言うと、 高橋さんはミサさんをもう一度見た。
高橋さん……。
はっきりそう告げた高橋さんは、 真っ直ぐにミサさんを見ている。 とても鋭い視線。 ミサさんを見る高橋さんの瞳は、 強い意志の表れ……。
「貴博。 私は、 今でも……」
「その先は、 言うな。 さっきも言っただろう。 俺達は、 10年前のあの時に終わったんだ。 もう別々の人生を、 歩み出している」
「貴博。 私は……」
「ミサ。 1つだけ言える事がある。 人は、 時間の経過と共に価値観も想いも変わる。 それは、 当たり前の事なんだ。 生きている上で、 色々な事が起きるし、 起こす。 自分の意としていないことも……な。 それを振り返った時、 どう自分が感じ取れるか。 そこが問題だと思わないか?」
「どういう意味? 私には、 わからないけど」
ミサさんは、 少しムッとしたような声で応えた。
「昔は、 こうだった。 昔は、 本当に良かった。 それは過去への憧れであって、 決して実を結ぶことはない。 過去はこうだったのにという想いをいつまでも引きずっていると、 前には進めないんだ。 確実に、 時は流れている。 若い時には、 決して戻れない。 それは、 誰しもが分かっていること。 同時に、 それは相手にも言えること。 相手も成長しているわけで、 当然価値観も変わってきている。 だとすると、 相手の価値観が変わったことも受け止めて、 過去の事は過去の事と割り切って、 良い想い出としてポジティブに生きていく方が良いと思わないか?」
「そんなに割り切れる事ではないわよ。 私は、 貴博みたいに大人にはなれないわ」
「フッ……。 俺だって、 同じだ。 人は、 今が一番若いと思っている。 それは、 どんな時でもな」
「どういう意味?」
高橋さんの視線の先を追って、 ミサさんもこちらを見た。
「全く関係のない人間を巻き込み、 ましてや弱っている人間を惑わし、 苦しめるような事はどう考えても言えないはずだ。 この際、 はっきり言っておく。 俺は、 この先も君の思い描いているような事を承諾するつもりはない。 そして、 それは彼女のせいでもない。 俺自身の意志だ」
そう言うと、 高橋さんはミサさんをもう一度見た。
高橋さん……。
はっきりそう告げた高橋さんは、 真っ直ぐにミサさんを見ている。 とても鋭い視線。 ミサさんを見る高橋さんの瞳は、 強い意志の表れ……。
「貴博。 私は、 今でも……」
「その先は、 言うな。 さっきも言っただろう。 俺達は、 10年前のあの時に終わったんだ。 もう別々の人生を、 歩み出している」
「貴博。 私は……」
「ミサ。 1つだけ言える事がある。 人は、 時間の経過と共に価値観も想いも変わる。 それは、 当たり前の事なんだ。 生きている上で、 色々な事が起きるし、 起こす。 自分の意としていないことも……な。 それを振り返った時、 どう自分が感じ取れるか。 そこが問題だと思わないか?」
「どういう意味? 私には、 わからないけど」
ミサさんは、 少しムッとしたような声で応えた。
「昔は、 こうだった。 昔は、 本当に良かった。 それは過去への憧れであって、 決して実を結ぶことはない。 過去はこうだったのにという想いをいつまでも引きずっていると、 前には進めないんだ。 確実に、 時は流れている。 若い時には、 決して戻れない。 それは、 誰しもが分かっていること。 同時に、 それは相手にも言えること。 相手も成長しているわけで、 当然価値観も変わってきている。 だとすると、 相手の価値観が変わったことも受け止めて、 過去の事は過去の事と割り切って、 良い想い出としてポジティブに生きていく方が良いと思わないか?」
「そんなに割り切れる事ではないわよ。 私は、 貴博みたいに大人にはなれないわ」
「フッ……。 俺だって、 同じだ。 人は、 今が一番若いと思っている。 それは、 どんな時でもな」
「どういう意味?」