新そよ風に乗って 〜慕情 vol.2〜
「多分、 自分が今の親の年齢になった時、 恐らく感じるだろう。 その時の親は、 もっと大人で歳とって見えた。 しかし、 いざ自分がその年齢になってみると、 まだまだ未熟で、 子供で……。 いつまでも、 今の自分が一番若いと思えてしまう。 それと同時に、 それは気づかないだけで側から見たら親と同じように歳をとっているのかもしれない。 つまり、 人の成長なんて自分自身では気づかないものなんだ」
「貴博……」
「時計の針は、 2度と巻き戻せない」
トントン。
エッ……。
誰?
思わず、 隣にいる明良さんの顔を見上げた。
< 4 / 112 >

この作品をシェア

pagetop