新そよ風に乗って 〜慕情 vol.2〜
含んだような言い方に、 髙橋さんはチラッと横目で山本さんを見たが、 すぐにどこかに電話をかけ始めていた。
「じゃあ、 陽子ちゃん。 また後でね」
「えっ? あっ……は、 はい」
結局、 総会も終わったその日。 山本さんも含め、 中原さんも一緒に4人で飲みに行った。
山本さんの実家は、 よく聞くと私の実家のすぐ近くという事がわかって、 ローカルな話題で盛り上がっていた。
高橋さんが、 トイレに立った時の事だった。 山本さんが、 気になる事を言い出した。
「ねえ、 陽子ちゃん!」
「はい?」
「貴博と、 上手くいってるの?」
「ブホッ!」
飲みかけていたウーロン茶を、 吹き出しそうになってしまった。
「まっ。 そのリアクションだと、 変わりないみたいね。 でも……なぁんか、 いつもと違う気がするのは気のせいかしら?」
「な、 何が……ですか?」
山本さんは、 怪しげな視線をこちらに向けた。
「貴方達……ヤッたでしょ?」
「ゴホ……ゴホッ!」
唐突な山本さんの言葉に、 今度は中原さんがむせてしまった。
「あら。 大丈夫? イケメン中原」
中原さんには、 あれから山本さんの正体を教えてあったので、 もうだいぶ落ち着いていた。
山本さんは、 そんなことはお構いなしに話しを続けようとしたところで、 高橋さんが戻ってきた。
よ、 良かった……。
「そう言えば、 いつから貴博煙草やめたの?」
「ん? ああ……わりと最近な」
高橋さんはビールを一口飲むと、 枝豆をつまみながらそう応えていた。
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