天妃物語〜本編後番外編・帰ってきた天妃が天帝に愛されすぎだと後宮の下女の噂話がはかどりすぎる〜
「黒緋様、ここで少し休みましょう」
「ああ、いいぞ」
「では、私と萌黄はこの先にある上流の湧き水で水を汲んできます」
「俺も一緒に行こう」
「いえ、ずっと青藍を抱っこしてもらっているんですから。それに少し分かりにくい場所なんですよ」
「そうか、それなら頼む。気を付けて行ってきてくれ」
黒緋は頷いた。鶯が心配でないわけではないが萌黄が一緒なら大丈夫だろう。
こうして鶯と萌黄が水を汲みに行くことになり、黒緋と紫紺と青藍は留守番だ。
黒緋は鶯と萌黄を見送ると、地面から盛り上がった千年杉の根に腰を下ろした。
「ちちうえ、オレたちおるすばん?」
「そうだ。遊んでてもいいが俺の目の届くところにいろ」
「わかった!」
紫紺は楽しそうに千年杉のまわりを走りだした。周回しているだけなのに楽しいようで、子どもとは不思議なものだなと黒緋は感心する。
「あうあ〜。ばぶぶ」
抱っこしていた青藍がもがきだす。抱っこからおろせと訴えている。
「お前も遊びたいのか?」
「あいっ」
「お前は俺の手の届くところにいろよ」
「ぶー」
「まだハイハイしか出来ないだろ」
そう言いながら黒緋は青藍を千年杉の根におろした。
青藍は太い根にへばりつく。ハイハイはできてないが本人は満足そうだ。
黒緋は二人の息子を見守りながら鶯の帰りを待っていたが、――――ふと気づく。
「離寛か」
黒緋の目の前に離寛が姿を現わした。
「邪魔して悪いな」
「分かっているなら邪魔するなよ。家族水入らずなんだ」
「子守りが?」
離寛が辺りを見回して言った。
ひやかす離寛に黒緋が目を据わらせる。
天帝のそれは天上も地上も震え上がらせるものだが、側にいる青藍が根にへばりついたまま「ばぶうっ」と声をだして台無しだ。
そんな青藍を黒緋はちょんっと軽く小突くと離寛を見る。
「ああ、いいぞ」
「では、私と萌黄はこの先にある上流の湧き水で水を汲んできます」
「俺も一緒に行こう」
「いえ、ずっと青藍を抱っこしてもらっているんですから。それに少し分かりにくい場所なんですよ」
「そうか、それなら頼む。気を付けて行ってきてくれ」
黒緋は頷いた。鶯が心配でないわけではないが萌黄が一緒なら大丈夫だろう。
こうして鶯と萌黄が水を汲みに行くことになり、黒緋と紫紺と青藍は留守番だ。
黒緋は鶯と萌黄を見送ると、地面から盛り上がった千年杉の根に腰を下ろした。
「ちちうえ、オレたちおるすばん?」
「そうだ。遊んでてもいいが俺の目の届くところにいろ」
「わかった!」
紫紺は楽しそうに千年杉のまわりを走りだした。周回しているだけなのに楽しいようで、子どもとは不思議なものだなと黒緋は感心する。
「あうあ〜。ばぶぶ」
抱っこしていた青藍がもがきだす。抱っこからおろせと訴えている。
「お前も遊びたいのか?」
「あいっ」
「お前は俺の手の届くところにいろよ」
「ぶー」
「まだハイハイしか出来ないだろ」
そう言いながら黒緋は青藍を千年杉の根におろした。
青藍は太い根にへばりつく。ハイハイはできてないが本人は満足そうだ。
黒緋は二人の息子を見守りながら鶯の帰りを待っていたが、――――ふと気づく。
「離寛か」
黒緋の目の前に離寛が姿を現わした。
「邪魔して悪いな」
「分かっているなら邪魔するなよ。家族水入らずなんだ」
「子守りが?」
離寛が辺りを見回して言った。
ひやかす離寛に黒緋が目を据わらせる。
天帝のそれは天上も地上も震え上がらせるものだが、側にいる青藍が根にへばりついたまま「ばぶうっ」と声をだして台無しだ。
そんな青藍を黒緋はちょんっと軽く小突くと離寛を見る。