天妃物語〜本編後番外編・帰ってきた天妃が天帝に愛されすぎだと後宮の下女の噂話がはかどりすぎる〜
「どうぞ、体を動かした後は甘いものが食べたくなりますからね」
「やった〜! ははうえ、ありがとう!」
紫紺が嬉しそうに餅菓子をほおばった。
それを見ていた青藍の涙も引っ込んで、「あうあー! あー!」と瞳を輝かせて自分も食べたいと鶯に訴えた。
しかし赤ちゃんに餅菓子は早いのである。
「赤ちゃんのあなたは栗をいただきましょう。小さくしてありますから」
「ぶーっ」
「ぶーっではありません。兄上と同じものはまだ早いですよ」
「せいらんは、オレといっしょのがたべたいのか?」
「そのようですよ。青藍は紫紺が大好きですからね」
「そうか! でも、まだあかちゃんなんだから、せいらんはダメだ。わかったか?」
紫紺が言い聞かせるようにそう言った。
しかも兄上ぶって青藍にこれからの計画を話す。
「はやくおおきくなれ! そしたらオレがちゃんときたえてやるから!」
「ばぶっ!?」
「これで、えいっえいっ、てしてやる!」
紫紺は庭に飛び出して、えいっえいっと激しく木刀を振った。
しかし。
「ばぶぶっ!? うっ、うっ、うっ、……うええぇぇん」
泣き崩れた青藍。
鶯の膝に突っ伏して「うええん、ええん……」と弱々しく泣きだした。
厳しそうなお稽古はどうしても嫌らしい。
そんな甘ったれな第二子に黒緋は苦笑する。
「泣くほど嫌なのか……」
「ふふふ、そのようですね」
「仕方ないやつだな。鶯、寄越せ」
黒緋が両手を差しだす。
鶯が膝に乗っていた青藍を渡した。
「これを抱いていたらお前もゆっくり菓子を楽しめないだろ。食べろ」
「ありがとうございます」
鶯は嬉しそうに目を細めた。
世話役の女官に青藍を預けても良かったのだが、こうして黒緋が自分たちの子どもを可愛がってくれることが嬉しかったのだ。
以前は青藍も黒緋に抱っこされるとなぜかよく泣いていたが、あの地上で四凶と戦った以降は黒緋に抱っこされても平気になったのである。
黒緋はあぐらをかいた上に青藍を乗せ、「お前はこれだ」と栗の菓子を食べさせた。
「紫紺、あなたもこちらに戻ってきてください。一緒に食べましょう」
「はーい!」
紫紺がまた鶯のところに戻ってきた。
子どもの体力とは無限だ。常に動き回っている。
鶯は隣に戻ってきた紫紺に笑いかけると、黒緋を振り返った。
「やった〜! ははうえ、ありがとう!」
紫紺が嬉しそうに餅菓子をほおばった。
それを見ていた青藍の涙も引っ込んで、「あうあー! あー!」と瞳を輝かせて自分も食べたいと鶯に訴えた。
しかし赤ちゃんに餅菓子は早いのである。
「赤ちゃんのあなたは栗をいただきましょう。小さくしてありますから」
「ぶーっ」
「ぶーっではありません。兄上と同じものはまだ早いですよ」
「せいらんは、オレといっしょのがたべたいのか?」
「そのようですよ。青藍は紫紺が大好きですからね」
「そうか! でも、まだあかちゃんなんだから、せいらんはダメだ。わかったか?」
紫紺が言い聞かせるようにそう言った。
しかも兄上ぶって青藍にこれからの計画を話す。
「はやくおおきくなれ! そしたらオレがちゃんときたえてやるから!」
「ばぶっ!?」
「これで、えいっえいっ、てしてやる!」
紫紺は庭に飛び出して、えいっえいっと激しく木刀を振った。
しかし。
「ばぶぶっ!? うっ、うっ、うっ、……うええぇぇん」
泣き崩れた青藍。
鶯の膝に突っ伏して「うええん、ええん……」と弱々しく泣きだした。
厳しそうなお稽古はどうしても嫌らしい。
そんな甘ったれな第二子に黒緋は苦笑する。
「泣くほど嫌なのか……」
「ふふふ、そのようですね」
「仕方ないやつだな。鶯、寄越せ」
黒緋が両手を差しだす。
鶯が膝に乗っていた青藍を渡した。
「これを抱いていたらお前もゆっくり菓子を楽しめないだろ。食べろ」
「ありがとうございます」
鶯は嬉しそうに目を細めた。
世話役の女官に青藍を預けても良かったのだが、こうして黒緋が自分たちの子どもを可愛がってくれることが嬉しかったのだ。
以前は青藍も黒緋に抱っこされるとなぜかよく泣いていたが、あの地上で四凶と戦った以降は黒緋に抱っこされても平気になったのである。
黒緋はあぐらをかいた上に青藍を乗せ、「お前はこれだ」と栗の菓子を食べさせた。
「紫紺、あなたもこちらに戻ってきてください。一緒に食べましょう」
「はーい!」
紫紺がまた鶯のところに戻ってきた。
子どもの体力とは無限だ。常に動き回っている。
鶯は隣に戻ってきた紫紺に笑いかけると、黒緋を振り返った。