メイドちゃんはご主人様に甘々に愛されちゃっています
「千景様。そこに白野はいますか?」
「うん、いるけど。白野さんに何か用?」
メイド長の須川さんの声だった。
「頼みたいことがあるのですが、少しお借りしても?」
「あぁ、もちろんいいよ。白野さん、行ってきなよ」
「は、はい。承知しました」
部屋から出ようとすると、耳元で「仕事、頑張ってね」と妙に甘い声で囁かれた。
この頬の熱に気づかれませんように、そう願いながら部屋を出た。
*
私は今、本を運んでいた。
うーん、重い……
この前須川さんに頼まれたのは掃除だったけど、今回は書庫に本を運ぶことと書庫の整理。
「白野さん、それって書庫に運ぶの?」
「千景様。はい、そうです」
運んでいる途中で千景様に話しかけられた。