溺愛オオカミくんは私の歌が大好物
第3話
〇カラオケ店

◇放課後

男1「じゃあ……まずは自己紹介から始めようか。まず俺らから紹介するね」


聖也「左から友也、真ん中が大智、そして俺が聖也。3人ともよろしくね」


友也「よろしく」


大智「よろしくね〜」


仁奈・紗知「「よろしくお願いしま〜す!」」


瀬奈「よ……よろしくお願いします」




紗知「じゃあ女子は私から!奥に座っているのが瀬奈、次が仁奈、私が紗知。今日めっちゃ楽しみにしてました!よろしくお願いします!!」




大智「俺達も楽しみにしてたんだよー」



聖也「よろしくねー」



パチパチパチ――




盛り上がり始めたけど、このテンションについていけない……。



聖也「じゃあとりあえず、ペアを作りますか!」



えぇ!?



紗知「OK〜勝った順でペア作るのはどう?」


仁奈「賛成!」



どんどん話が進んでいく。合コンってこんなに忙しいものなの!?



友也「じゃあ行くよー。最初はグー、ジャンケン――」




聖也「よろしくね!瀬奈ちゃん」



私とペアになったのは、1番テンションが高そうな聖也さん。



私が苦手な部類の人だ……。



瀬奈「お……願いします……」

聖也「もしかして緊張してる?こういうのって初めて?可愛いね〜」



瀬奈「アハハ……」




何も言ってないのに自己完結してどんどん話の内容を変えていく。






聖也「――それでさぁ、俺こう見えて服とかめっちゃ好きでよく古着屋とか行くんだよ」



瀬奈「そうなんですね……」





私が話す隙もなく、自分のことだけをひたすら話してくる。



そういえば、紗知たちはどうしてるんだろう。



チラッと周りを見ると――




紗知「えっ、ほんと!?私もそのお店よく行くよ!」


大智「じゃあ今度一緒に行こうよ。連絡先交換しない?」



紗知は共通の好きなお店の話で盛り上がり、仁奈は――



仁奈「私って結構ドジだから〜、周りから鈍臭いって言われるんですよ……」



友也「え〜それ絶対妬みとか入ってるよ。俺は仁奈ちゃんのそういう抜けてるところ可愛いと思うよ?」



こっちもまた別でいい感じそう……。



はぁ……帰りたい。




――――数分後




大智「紗知ちゃんがもう眠いって言うから俺送ってくわ。お先に」



手を振って帰っていく2人。




いや、紗知なんて毎日夜中の3時まで起きてますけど?



今の時刻は23時……絶対嘘じゃん!




友也「じゃあ俺らも帰ろうかな。帰りに寄りたいお店があるし、ね?」



仁奈「うん!じゃあ私達もお先でーす」


バタン――



瀬奈「…………」

聖也「…………」



気まずいし、帰ろうかな。



瀬奈「あの……私もそろそろ帰ります」



聖也「えっ、もう帰るの?俺的にはもうちょっと一緒に居たいんだけど」



瀬奈「でも、もう遅いですし……すみません。今日はありがとうございました」



聖也「じゃあ送ってくよ。女の子を一人で返すわけにはいかないし」


瀬奈「いえ、そこまで遠いわけでもないので大丈夫です。それにあと少しで終電なので走って帰りますので」





聖也「それでも何があるか分からないから。ほら、夜って怖いことだらけだし。それに走るなんて大変だから無理して帰らなくてもいいじゃん。終電逃したら俺と一緒にどこかに泊まろうよ」



意地でも私と夜を過ごしたいこの男。


このままだと埒が明かない。面倒くさいことになる前に帰るのがいい。


瀬奈「とにかく一人で大丈夫なのでっ!」



聖也「ちょっ、おい待てよ!」


先ほどまでの緩い話し方は消えて、大きい声で叫び始めた。


これはやばいと思って足早に部屋を出る。


〇カラオケ店の入口

◇夜



外へ出るとやはり暗く、それでも建物の看板たちで街が照らされている。


夜の街って感じだ。それにしても……




瀬奈「ハァ……」


よかった。追いかけてこない。



まさかいきなり合コンに参加させられるとは――



疲れた。早く帰ろう。






聖也「ちょっと待って!」




えぇ!?


急に腕を掴まれ、後ろを振り向くとさっきの自己完結男が息を切らしていた。



やばい、やばい、やばい!



これ以上この人と関わりたくないんだけど。


瀬奈「ま、まだ何か?」


聖也「そんなに冷たくしないでよー本当は恥ずかしくてそんな態度取ってるんでしょ?俺はちゃんと分かってるから。だからまだ俺と居てよ」



なんとも見当違いな。


ここから早く去ればよかった。


瀬奈「あの、恥ずかしいとかではなくて本当に一人で帰りたいだけなんで」


聖也「ツンデレなんだね。俺そういう子も好きだよ」


ダメだ、話が通じない。



聖也「恥ずかしいんだったら俺がリードしてあげるから、とりあえず付いてきて。今から駅に向かっても終電に間に合わないだろうし、こっちにいいお店あるからまだ遊ぼうよ」


人の話も聞かず、腕を掴まれたまま連れて行かれそうに。



瀬奈「離してください!」


周りの騒音で私の声が上手く届かない。今度は大きな声で。


瀬奈「あのっ!離し――」


?「おい」


え?


横から出てきた第三者の手。


そして私は最近までこの声を聞いたことがある。


聖也「お前誰だよ」




?「お前こそ俺の知り合いに、何してんだ?」





明かりに照らされた銀色の髪が綺麗に揺れる姿に息を飲んだ。




そうまるで狼のような彼が私のを助けてくれたのだ。


< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop