溺愛オオカミくんは私の歌が大好物
第5話


〇学校・教室

◇朝



紗知「おっはようー!」


ご機嫌で教室に入ってくる紗知。




仁奈「おはよう……」



紗知とは真逆で仁奈は元気がない……これはもしや……。



瀬奈「おはよう、なんだかご機嫌だね。いい事でもあったの?」




紗知「えー分かる?」



ウフフフと合コンに成功した時に出る笑いだ。



仁奈「いいなぁー私の方はダメだった」



瀬奈「でもあの時いい感じな雰囲気でお店を出なかった?」



仁奈「そうなんだけどさ、話せば話すほどあの人実はマザコンだったんだよね」



紗知「マザコン?!」




仁奈「そう……」


〇(回想)紗知と友也のデートの時の様子


紗知「ねぇねぇ、今度はここのお店一緒に行かない?今SNSでめっちゃ人気なんだよねー」



SNSの写真を友也に見せる。



友也「かわいいお店だね……ちょっと待ってね聞いてみるから」



仁奈「えっ、聞いてみるって誰に?」



私の質問には答えず誰かに電話をかけ始めた友也。




友也「もしもし、お母さん?聞きたいことがあるんだけど」



おっ、お母さん!?



友也「うん。今度そのお店に行こうとしてるんだけど……」




なんでお母さんに聞いてるの?




友也「わかった。さすがお母さんだね!ありがとう」



携帯の画面を愛しそうに見る友也。



仁奈「ねぇ……なんでお母さんに電話したの?」



友也「え?当たり前じゃん。どこかに行くにも何をするにもまずお母さんに聞いて見なきゃ」



仁奈「え……」



友也「今だってお母さんにお店のこと話したら、混んでて長時間待つからやめときなって…さすが僕のお母さんは先を見越して考えてくれるね!」



仁奈「そ、そうかな……」



それくらい誰でも予想できるでしょ。それを分かってても行きたいんだけど……。



仁奈「じゃあさ、ここはどう?」



友也「どこ?」



仁奈「この夜景が綺麗なところ!」




ここは穴場スポットだから大丈夫でしょ。



友也「あぁ、ここ前にテレビでやってるの観たよ。確か、お母さんが少し登ったところにあって行くまでが大変だから……って言ってた」


まっ、またお母さんか。



仁奈「じゃっ、じゃあさ――」




回想終了




仁奈「その後も何を提案してもお母さんに聞いてみるね、お母さんに聞いてみるね、お母さんに聞いてみるねってお前の意見を聞いてるんだよっ!ってなって付き合うのやめた」



鼻息を荒くして相当苛立ったのだろう、今すぐにでも人を殴りそうな勢いだ。





それにしても、なんか……。



紗知「……どんまい」



うん、紗知も同じことを思ったらしい。



紗知「それより、瀬奈の方はどうだったの?」



瀬奈「えっ、私?」




仁奈「そうそう!気になる、気になる!」



紗知「で!どうだったの!?」



期待の眼差しで見てくる2人。



期待されるような恋愛展開は何もないのに……。



瀬奈「私の方は、何も無かったよ。あの後、あの人とはその場でお開き」




紗知「えっ!?嘘でしょ?!」



仁奈「せめて連絡先を交換したとかないの?」



瀬奈「うん、無いよ」



そんなこと出来るような常識人ではなかった。あんな酷い目に遭ったんだから……もう合コンは懲り懲りだ。



岳さんが助けに来てくれたから良かったけど、そうじゃなきゃどうなってたか。



手当までしてくれて……それに……。



昨日の岳の至近距離の顔を思い出す瀬奈。



仁奈「なんか、顔が赤いけど大丈夫?」


紗知「それになんか、にやけてる……本当は何かあったんでしょう!」



瀬奈「なっ、何もないよ!」


紗知「あやしー!白状しなさい!」


仁奈「白状しなさい!」


2人からの圧がすごい。どうしよう……。



~♪



担任「お前ら、席に着け」



壁際に追いやられたところでタイミングよく朝の会のチャイムがなって難を逃れた。



今度から顔には気を付けよう。


< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

妹が私の彼氏候補を連れてきました

総文字数/43,589

恋愛(その他)142ページ

第5回noicomiマンガシナリオ大賞エントリー中
表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop