愛を語るより…
だから、ちょこまかと主任の周りで彼から与えられた細かな仕事を黙々とこなしている私に向かって、誰にも見せたことのない柔らかな微笑みを称えながら…。


『佐伯さん、イブはもう予定入ってる?』


と、そう言われた時不覚にも目を見開いてしまった。同時にぽかんと口も少しだけ開いて…。


『あ…えと…何も、ないです…けど…、、』

『あはは。佐伯さん、目が落っこちちゃうよ?…こんな事いきなり言われたら困るかもしれないけど…。佐伯さんのその日一日を、俺にくれませんか?』

『……えっと、あの……?』

『ん…?答えは"はい"か'イエス"がいいなぁ』


それは、何方も同じなのではないか?と思う前に私はこくこくとただ頷くだけなった。


私がそう受け答えした瞬間、彼はふぅと息を吐き出してから、良かった、と一言呟いた後、こんな爆弾発言を投下して来たのだ。


『好きな子をデートを誘うのって緊張感、半端ないな』

と。


その言葉に、私は今度こそ目が落ちるんじゃないかというくらい、驚いたのだった。
勿論瞬間湯沸し器状態の赤面を添えて…。
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