酔いしれて想望
「あ、ごめん・・・どくね」



身を引いた拍子にふわりと香った金木犀の香り。



あんなにツンケンした態度から香る金木犀がアンバランスのような気がして、少し笑ってしまったのはここだけの秘密にしておいてくれると助かる。



「・・・あ、のさ」



だからかな。



多分僕は少し浮かれてしまったんだと思う。



「古典のコーナーって・・・こっち?」



知っていてわざと真反対の方向を指さした。



すると彼女はすこしめんどくさそうな顔をしてから、僕の指を見つめた。


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