君と2度目の恋に落ちたら

そう都合よく昨日と同じ場所であの人とすれ違えるとも思えないが、わずかな可能性を試したくて自販機に向かうことを決めた。

昼休みの校舎はとても賑やかだ。教室、廊下に和気藹々と談笑している生徒がいる。そんな中で私は少し周りを伺いながら隣の校舎へと歩みを進めた。

しかし、彼はいないようだった。そのことに少し落胆している自分に気がつき、恥ずかしくなった。

自分でもどうしてあの人のことが気になるのかわからない。夢に出てきたからといって意識し過ぎてしまっている。

恥ずかしさで少し熱くなった頬をパタパタと手で扇ぎながら、自販機のそばの角を曲がった時、男の人の声が聞こえた。

「あ、やべ…間違えた」

その声の主の姿を捉えた時、思わず立ち止まって目を丸くしてしまった。それは昨日肩がぶつかった彼だった。彼はミルクティーのペットボトルを見つめていた。

すると、彼は立ち止まっている私のことに気がつき、昨日のように驚いた顔をした数秒の後に「あ、すみません。どうぞ」と自販機から少し離れた。

私は「どうも…」と言いながら自販機の前に行き、彼の立ち去る気配を感じながらドキドキした胸を抑え、「あの！」と彼に声をかけた。

「さっき…『間違えた』って聞こえたんですけど、もしかしてミルクティーじゃないやつを買おうとしてましたか？」

立ち止まってくれた彼は一瞬ミルクティーの方を見て、眉毛を八の字にして笑った。

「実は、そうなんです。隣のコーヒー買おうとしたら間違えてミルクティーを押しちゃってたみたいで…全然見た目も違うのに」

「あ、あの！よかったら私がコーヒー買うので、ミルクティーと交換しませんか？ちょうど自分はミルクティーを買おうと思って来てたので…！」