君と2度目の恋に落ちたら
私の提案に彼は「いいんですか?」と答えた。私はそれに笑顔で頷いた。

「えっと、このブラックのコーヒーで間違いないですか?」

「そうです!」

私はお金を入れて彼が本来買いたかったコーヒーのボタンを押した。出てきたコーヒーと彼が持っていたミルクティーを交換し合い、「ちょっと待ってくださいね、差額を渡しますから」と声をかけると彼は慌てた。

「いやいや、差額はいらないですよ!甘い飲み物が苦手で困ってて、すごく助かったので…」

「いや、でも…」

私が食い下がると彼はぶんぶんと勢いよく首を横に振った。それがあまりにも早すぎて、私は思わずふふっと笑ってしまった。

「あ、ごめんなさい…つい。じゃあ、お言葉に甘えて…」

彼も私につられてか少し笑い声を上げた。くしゃっと笑う人なんだな…と思った。

もう少し話していたい気持ちもあったが、これ以上は不自然だろうという気持ちと勇気が足りず言葉はこれ以上出てこなかった。

「本当にありがとうございました」

彼はそう言ってこの場を去っていった。

時間にしてみれば数分の出来事だが、私にとってはすごく濃い時間に感じられた。

少ないやり取りであったが、その間に彼の上履きの色を確認することができた。私と同じ学年の緑色だった。

私はとてもふわふわとした気持ちになった。どういう感情と言い表すことができない。一体私は何を感じているのだろうか。

自分の感情はよくわからないが、学年が一緒だとわかり、もしかすると今後授業などで顔を合わせることもあるかもしれない。その時、彼は今日のことなんてすっかり忘れてしまっているかもしれないが、今度はもう少し話ができるといいなと思った。

なんだか、また顔が熱くなってきた。私は彼と交換したミルクティーを開栓し、冷たい液体を喉に流し込んだ。
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