君と2度目の恋に落ちたら
「とてもおあついようでよかったですね〜」

からかうような口をききながらも、私はこのカップルのことを応援している。相手の青木くんとはクラスも離れているためあまり私は接点はないのだが、時々2人が一緒に並んでいるところを見るとお互いが幸せでたまらないといった表情を浮かべているので、勝手にこの人なら親友を任せて大丈夫だと感じているからだ。

「ゆりあは小テスト、今日もばっちりなんでしょ?」

もかは彼氏の話はしたいけれど、恥ずかしくてあまり長々とは喋れないのか話をもとに戻してきた。

「ええ、私はちゃんと勉強してますからね」

自分で言うのもなんだが、私も真面目な性格なので勉強はきちんとやるタイプだ。夜はもちろん、朝も毎朝決まった時間に起きて余裕があるので予習なんかをしている。

そうこう話しているうちに学校に着き、上履きに履き替え教室に向かう。

「今から小テスト対策、めちゃくちゃ頑張る!」

教室に着いたもかは私にそう宣言をして自分の席に着いた途端、数学のノートと教科書を机に広げた。「頑張れ」と心の中で応援をしながら私も自分の席に着く。

5分ほどした後に担任の先生が教室に現れ、朝のホームルームが行われた。先生からの連絡事項は特に重大なものはなく、今日も1日平和な学校生活が始まる。

真面目に授業を受け、3時間目に例の数学の小テストがとりおこなわれ、私は難なく問題を解いた。今日の小テストは特に難しくもなかったので、きっともかも大丈夫だろう。

制限時間よりも余裕をもって解き終えた私は朝のもかの彼氏の話をする時の様子を思い返した。今日だけではない、もかが彼氏の話をする時、2人が一緒にいる時...もかは本当にいつも幸せそうだなあ。

今年私は16歳を迎えるわけだが、これまで彼氏がいたことはない。告白を受けることもあったが、実のところこれまで人を好きになった経験もないので、いまいちよくわからず全て断ってきた。しかし、彼氏ができて毎日幸せそうな親友の姿を見ていると、段々私も恋というものに興味が湧いてきた。

現状、優しい両親がいて、仲良しの親友もいて、他にも仲のよい友達にも恵まれていて不満はないのだけれど、きっと彼氏という存在でしか満たされない幸福もあるんだろうなと最近思いようになった。

もちろん、そんな浅はかな理由で適当に彼氏を作ろうだなんて思ってはいないが、私ももかのように真っ直ぐ好きだと想い合える相手と出会ってみたい。

そんな考えを巡らせていると数学の先生が「はい終了!後ろから前に用紙を回して〜」と声をかけたので、私は頭を授業に集中するため切り替えた。
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