君と2度目の恋に落ちたら
早くもかの待つ教室に戻ろうと、帰りも足早に進め、廊下の角を曲がった出会い頭に男子生徒と肩が少し当たってしまった。

「す、すみません!」「ごめんなさい!」

咄嗟に2人ほぼ同時に謝罪の言葉を告げ、私はそのぶつかってしまった男子生徒を見上げると彼は驚いて目を見張っていた。ぶつかった衝撃はさほど大きくはなかったが、出会い頭の衝突にえらくびっくりしたのだろうか。

私は少し妙だなという気持ちを抱きつつ、軽く会釈をしてその場を立ち去った。

その後も後ろから視線を感じるような気配を感じつつも、私は振り返ることなく「あの人は知り合いか何かだったかな…」なんて考えた。

教室に戻るともかが私の机に向かって前の席の人の椅子を利用して座ってお弁当をもぐもぐと食べていた。私が近づき、自分の椅子に手を掛けたところで口に入れたものが見えないように両手で口を隠しながら「おかえり」と言った。

「ただいま。さっき戻る時廊下で男子と軽くぶつかっちゃってさ…」

大袈裟にも感じる目の見張りようやなんとなく感じる視線のことをもかに話した。すると、もかはニヤニヤしながらこう言った。

「ゆりあに一目惚れでもしちゃったんじゃないの〜?」

「はい〜?それはないない!」

私は笑いながら突拍子もないもかの推理を否定するが、もかは「全然その説ありえると思うんだけどな〜」と呟く。

「ゆりあは自分の可愛さを充分に自覚した方がいいよ」

「おだてたって私何も持ってないから出てこないよ。視線も私の勘違いだったかもしれないし…」

「おだててるわけじゃないんだけどな〜」

私が別の話題を出すことであの男の子の話は終了した。その後、お弁当を食べあげ、もかが持ってきたお菓子を2人で食べながら他愛もない話をしていたら予鈴がなり、もかは自分の席へと戻って行った。

5時間目の授業の教科書を準備している時に、ふと「あれ?もしかするとあの男の子と会うのは初めてではなかったのかな?」と感じたが数秒の出来事でよくわからないので思考することをやめた。
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