君に恋をするなんて
顔を上げる。
「お前、なんで泣いてんの?」
「べつに、泣いてないし」
「......美咲。なんかあったら、俺を頼れよ」
なんで今日だけこんなに優しいの?そんなこと言われたら、甘えてしまうよ......。
「わたし、高野くんに、振られたんだ。......女だと思ってないからって」
「え、高野に振られた?」
わたしは小さく頷く。ほら、この次は、お前、女じゃないししょうがないだろ、って言うんでしょ。わかってるんだから。
「女だと思ってないって、お前、女だろ」
「......え?」
わたしは顔を上げる。
「俺は美咲のこと男だなんて思ったことねえよ」
亮の頬が少し赤らんでいるのは、夕陽のせいかな......。