彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
失礼な発言をする男に、出来るだけこちらの不快感が伝わらないように、ポーカーフェイスを保つ私。
チーン!
到着を知らせる音がして、やっと降りることが出来た。
ただし、未だに腕を掴まれたままだけどね!!
〔★檜扇二三人の執着が強い★〕
「あの、檜扇さん。」
「なんだ!!?瑞希を呼んでくれるか!!?」
「無理です。そうではなくて、手を・・・離して頂けませんか?」
「いやいや!!そう言って、逃げられちゃ困るからね~!!」
「今の僕、逃げないといけない状況なのですか?」
「あ!?いやいやいや!!そういうわけではないんだけど~・・・・・ま、まあ!仲良くしようじゃないか!!?ね!!?」
強引にそう言うと、掴む力を強めて引っ張ってくる口ひげ。
(こいつ、嫌い・・・・!!)
〔★凛の口ひげ親父への評価は、さらに下がった★〕
相手がかたくなに、離れようとしないのが気になった。
幸い、昔、痴漢に腕を捕まれた際の逃げ方を習っていたので、いざとなれば、それを実践しようと決める。
(とはいえ、今日はあくまで『お見舞い』に来たのであって、ケンカしに来たんじゃない。)
ムカつくが、多少のことはこちらが大人になって目をつぶり、スルーするしかないかな。
そんなことを考えながら、腕を引かれて廊下を曲がる。
すると正面に、ある病室の間で、密集している集団の姿が目に飛び込んできた。
(なにあれ?)
思わず直視すれば、向こうもこちらに気づき、そのうちの1人が声をかけてきた。
「二三人君!!その子はまさか――――――――!!?」
「ああ、そうだ!!俺が見つけてきた、凛道蓮君だっ!!」
「「「「「凛道蓮っ!?」」」」」
口ひげの言葉に、急にコソコソと話し始める集団。