彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
失礼な老若男女の大人達。
それに口ひげは舌打ちすると、私に笑顔を向けながら言った。
「悪かったな、凛道蓮君!!さあ、母さんが待ってる!!行こう!!」
そう言いながら、私の肩を抱いた時、失礼な集団の1人が言った。
「あ、あの二三人さん!いつになったら私達は、大奥様と面会できるのかしら!?もう10日も待ってるのだけど・・・!?」
中年女の言葉に、相手を見ることなく言った。
「病室に入れるのは、檜扇家の者だけだ!!それが理解できるまで、好きなだけそこにいればいい!!」
「わ、私は身内でしょう!!?あなたとは親戚じゃない!!?」
「あたしだってそうよ!!」
「わしだって!!」
「俺も檜扇家の―――――――!!」
「うるさい!!!その口を閉じないと、叩き出すぞ!!?」
首だけで振り返りながら口ひげ親父が言えば、青い顔を、さらに青くして黙り込む失礼な集団。
(居心地悪いな・・・・・)
明確な理由はわからないけど、現状はあまりいいものじゃないみたい。
思わずヤマトを見れば、サングラスの下から目をのぞかせて見ていた。
私と目が合うと、ニコッと笑ってサングラスを直した。
「驚かせて悪かったね、凛道蓮君!!母は繊細な方だから、優しく接してくれよ!!?」
「・・・わかりました。」
背中から突き刺さる視線を感じながら、首を縦に振る私。
花束を抱え直し、ヤマトが私の服を掴んでいることを確認する。
するとヤマトが手鏡を取り出して、私の顔の前に持ってくる。
「・・・ありがとう、ヤマト。」
「うははは!おーきに!」
「ははは!気の利く友達だな!?」
「羨ましいでしょう?」
「そうだな!!」
髪が乱れていたので直せば、ヤマトが手鏡を引っ込めた。
これで準備万端となる。