彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「準備はいいかね、凛道蓮君!?入っていいか!?」
「どうぞ。」
口ひげの言葉に同意すれば、口ひげは、檜扇さんはドアをノックした。
コンコン!!
「母さん!!二三人です!!凛道蓮君を連れてきました!!」
そう言うと、私の肩を抱き寄せながらドアを開ける。
途端に、暖かい風が頬を撫でた。
「二三人・・・?」
「母さん!!」
か細い声で口ひげを呼んだのは、ベッドに横たわっている老女だった。
広くきれいな調度品がそろっている部屋にいたのは、年老いた女性だけではなかった。
「二三人ぉ~!」
「二三人!!」
「二三人君。」
「二三人さん!」
「二三人おじさん!!」
「・・・。」
ベッドに横になる老女以外に、6人の男女がいた。
6人のうち、1人の男性は、こちらに背を向けていたので顔はわからない。
しかし、こっちを見ているうちの2人を見て、私は思わず叫んだ。
「不審者の親子!!」
「誰が不審者よ!?」
真っ先に反論したのは、紅一点の派手な見た目の中年女性。
「私の愛息子を不審者なんて言い方しないで!!このキレイな見た目のどこがおかしいのよ!?」
(愛息子?)
ということは、この人は母親なのだろうか?
そう思いつつも、言うことだけ言った。
「見た目ではなく、態度が不審者でしたので。」
「もう!だから私が同行すればよかったのよ!!あなたのせいですからね、だ・ん・な・さ・ま!?」
「そ、そんなにおこらないでよ!僕は頑張ったんだよ!?」
「はい、頑張って不審者してましたね。」
「ちょっと!?」
「だから~俺らは不審者じゃないんだよぉ~?」
私の言葉に父親が動揺し、額の広い息子がトホホ顔になる。
「凛道蓮君、あの2人を知ってるのか!!?」
「え、あ、はい!数日前の夜中に、一緒に来てほしいと声をかけられ、怪しかったので、息子さんを交番に差し出し、父親の方からは逃亡しました。」
「なにしてるんだ、あんたら!!?」
怒鳴る口ひげに、しろもどしながら不審者の父親が言う。
「いや、だから、伯母様が会いたがっているから、早く会わせようと思って~!」
「まあ、夜中に声かけたのが良くなかったけどねー」
もじもじする父親とは対照的に、あっけらかんとする息子。
これに口ひげが、再度怒鳴った。