彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「凛道蓮君は俺が連れてくるから、余計なことはするなと言っただろう!!?」
「余計なことですって!!?」
途端に、甲高い声が上がる。
「うちの子の親切に、ケチつけようっていうの!!?」
言ったのは、先ほどの不審者息子の母親らしき女性。
ツカツカと、ヒールの音を鳴らしながら口ひげ親父に近づくと、まくしたてながら言った。
「最初に凛道蓮君を見つけたのは私よ!!それをあんたがかぎつけて、夫にしつこく追求してきたんでしょう!?それをまるで、こっちがかぎまわったみたいな言い方して!!不愉快だわ!!謝ってよ!!」
「はあ!?なんで俺が、謝らなきゃならないんだ!?俺は、凛道蓮君を連れて来――――――!!?」
「誰のおかげ!!?」
口ひげ親父の言葉をさえぎって、強い口調で言う中年女性。
「誰が、凛道蓮君の情報を教えたから、凛道蓮君のことを知らない二三人さんが、今日ここに連れて来れたのかしらっ!!?もちろん、私のおかげよね!?私の夫が、あなたに、お・し・え・て・あ・げ・た!!からだろうーが!!立場わきまて発言してっ!!」
「き、貴様~!?ちょっと恩着せがましいぞ!!」
「まぁまぁ!落ち着いてよ、叔父さん!お母さんもいいじゃないか。誰が連れてきても同じだよ?」
「大違いよ!!そういう弱気なところ、お父さんそっくりでダメね!!言うことはきちんとい言わなきゃダメなのよ!!?」
「何がきちんとだ!!分家の癖にでしゃばるんじゃないぞ!!?」
「それがどうした!?本家ってだけで美味しとこ取りするずるがしこい人間が、笑わせるな!!」
「やめなさい、二三人!!!」
火花を散らす二人を止めたのは、ベッドに横たわっていた老女。
上半身を起こすと、ジッと私を見ながら言った。
「あなたが・・・あなたが、凛道蓮君なのね・・・?」
「は、はい、そうです。初めまして、凛道蓮と申します。以後、お見知りおきを。」
挨拶をして、念のために最敬礼の会釈をする。
(あの老女が、瑞希お兄ちゃんのおばあ様かしら・・・?)
そんな思いで顔を上げてぎょっとした。