彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「貴様!!老齢の貴婦人をもてあそんで楽しいか!?」
「うははは!ほんの軽いごあいさつでんがなぁー!?あんまカリカリしよると、血管切れまっせ、じーさん!」
「だれがじーさんじゃ!?二三人!!なんなんだ、この関西弁のデカ物は!?」
「それが~凛道蓮君の大親友で・・・!!」
「大親友じゃと!!?凛道蓮!!友達はもっとちゃんと選びなさい!!」
「僕、友達の悪口言われてショックを受けました。なので、この辺でさようなら~」
「ああああ!!帰らないで!!」
ヤマトと一緒に回れ右をしたら、俊敏な動きで引き留めてくる口ひげ。
そして口ひげ親父は、ヤマトの悪口を言った老人を怒鳴った。
「余計なこと言わないでくれよっ!!ただでさえ、扱いが難しいんだから!!」
「余計なことだと!?わしは良かれと思って言ってやったんじゃないか!?そもそも、わしに対して、なんだその口の利き方をするんだ二三人!!?」
「だははは!!まあまあ、落ち着こうぜ!!よく見れば、二三人のガキの頃にそっくりの悪ガキだ!!」
そう言って老人をなだめたのは、少し太めの老人。
「生意気なぐらいじゃなきゃ、檜扇家じゃやっていけない!!追い越されないようにしろよ、二三人!!?」
「わ、わかってるよ~!!」
茶化すように言われ、咳払いをする口ひげ。
そして、涙をぬぐっている老女に優しい声で口ひげは言った。
「母さん!凛道蓮君が、母さんに渡したいものがあるんだって!!」
「え?私に・・・?」
「あ、はい。」
それで、抱えていた花束を見せながら言った。
「よろしければ、入院中の御慰めになればと思いまして――――――安物ではありますが、季節の花をご用意しました。」
「まあ、なんて可愛い花束なんでしょう!なんていうお花なの?」
「『アルストロメリア』と言って、11月に咲く花です。」
「そう・・・近くに来て下さらない。」
「では・・・失礼します。」
老女に近づき、一瞬迷ったけど花束を差し出す。
「どうぞ、お受け取り下さい。」
「ありがとう・・・」
ニコニコしながら言うと、優しく花束を手に取る老婦人。