彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「下手に騒ぐより、静かに休ませた方がいい!!」
老女の背中をさすりながら私に言ったのは、いくら名前を呼ばれ手もこっちに来なかった人。
檜扇柊護(ひおうぎ しゅうご)と呼ばれた男。
「えっ!!!?」
「うはああああああああああああああああああああ!!?」
その顔を見て、私もヤマトも絶句してしまった。
「瑞希お兄ちゃん!!?」
「瑞希はーん!!?」
瓜二つと言っていいぐらい、そっくりな顔をした人物だった。
「な・・・なんで瑞希お兄ちゃんがここにい――――――――――――!!?」
「俺は真田瑞希じゃない!!!」
私の疑問を、大声でかき消す相手。
「じゃあ、ドッペルゲンガー!?」
「誰が幻覚だ!!?」
〔☆良い子のためのワンポイント解説☆〕
ドッペルゲンガー:自分とそっくりの姿をした分身のことで、同じ人物が同時に複数の場所に姿を現す現象のとをだよーん☆彡原因として、幻覚の一種の「自己像幻視(じこぞうげんし)」によって見えている場合は精神科・心療内科へ、脳腫瘍によって見えてたりする場合は脳神経外科・神経内科・眼科へ受診するのがベストだよーん☆彡
私にツッコミを入れると、苦しそうにしている老女にそっくりさんは話しかける。
「おばあ様、ゆっくり呼吸をして。ゆっくりでいいから。」
「スーハ―・・・スーハ―・・・ああ・・・」
「大丈夫か、おばあ様?」
「ああ・・・・・ありがとう、柊護(しゅうご)ちゃん・・・柊護(しゅうご)ちゃんが背中をなでてくれると、ばあばは、すごく楽になるのよ・・・・・」
幸せそうにする老女に、優しく微笑みかける雰囲気は、私の愛する人に酷似していた。
(どうなってるの・・・なんで・・・!?)
「凛、凛!これで確定や!」
「ヤマト?」
「檜扇二三人(ひおうぎ ふみひと)はんは、瑞希はんの父親やけど、今の紹介で檜扇柊護(ひおうぎ しゅうご)はんの父親ともゆーた!間違いなく2人は兄弟や!」
「・・・・・兄弟・・・・・」
そっか・・・
(血のつながった兄弟なら、似ていても不思議じゃないよね・・・)
「柊護(しゅうご)ちゃん、ばあばの側から離れないで・・・!側にいてちょうだい・・・・!」
そう言って、私の手を握っていない方の手で、檜扇柊護(ひおうぎ しゅうご)さんの手を握る檜扇湖亀(ひおうぎ こき)さん。