彼は高嶺のヤンキー様１０（元ヤン）

「私が生きているうちは・・・達比古（たつひこ）さんを支えて、檜扇家（ひおうぎけ）を守っていきたい・・・あと少しだけで良いから、生きていたいのだけど・・・」
「何を言ってるんだ！！湖亀らしくもない！！君は長生きできる！！まだまだ生きれるぞ！？」
「ありがとう、達比古（たつひこ）さん・・・・・悔いのないように生きてきたつもりだけど・・・・心残りだけは、したくない・・・ねぇ、二三人、どうして、瑞希ちゃんは会いに来てくれないの・・・？」
「い、いや！それが～！！」
「そうよ二三人！！あんた今日、真田瑞希君が凛道蓮君と一緒に会いに来てくれるって、言ったじゃない！！？まさか、この関西男子が真田瑞希君だなんて冗談は言わないわよね！？真田瑞希君の顔は、私達みんな知ってるんだから！！」


（そんな約束しとったんか、このジジイ！？）


「なんで、真田瑞希君がきてないのよ二三人さん！？答えなさいよ！！」
「う、うるさいな！大声で騒ぐなよ！」
「じゃあ静かに聞くわ。説明して。」
「そ、それは～」





代佳子（よかこ）さんに詰め寄られる口ひげ野郎を見て、何となく察する私。





（瑞希お兄ちゃんの原料は、出来もしない約束をしていたのね。）

それだけではない。

ここまでの流れで、だいたいの話は分かった。

（瑞希お兄ちゃんの父親の檜扇は離婚して、瑞希お兄ちゃんが母親である真田に引き取られ、柊護（しゅうご）と呼ばれる瑞希お兄ちゃんの兄弟の方が、父親に引き取られたんだ！！）

それで、お金持ちの祖母が死にかける段階になって、生き別れた孫の瑞希お兄ちゃんに会いたがっている。

（私は瑞希お兄ちゃんに溺愛されてるから、私を間に挟んで、ダメ親父は息子と孫を対面させようとして失敗したということね！！？）





〔★凛は分析・推理した★〕





「二三人・・・どうして・・・ひっく、ひっく、ひっ！・・・・瑞希ちゃんは、今日来てないの・・・・？」
「そっ、それは―――――――――――――！！！」





再び泣き出した母親の問いに、息子は片手を振り上げながら言った。







「凛道蓮君に頼んだのですが、彼が仕事を果たさなかったからです！！！」
「はあ！！？」







私へと指さしながら、大声でそう言い切った口ひげ野郎。







（こいつ！！人に責任押し付けやがった！！）

やっぱり嫌い！！大嫌いだよ、クソ親父！！







〔★凛の瑞希父への好感度は、超急降下した★〕