彼は高嶺のヤンキー様１０（元ヤン）

「いたたた・・・！蓮、良いキックだったぞ！！」
「・・・。」






呆然とする私に、口ひげ親父が話しかけてきた。







「蓮、お前のお母さんはどんな人なんだ・・・！？俺に詳しく―――――――教えてくれないか・・・・・・！？」
「・・・・・・・聞いてどうすんだよ？」







自然と低くなる声。
なぜか後ずさりする口ひげ親父。







「聞いてどうするのかって聞いてんだろう！！？」

「認知と、今までとこれからの養育費を払うためだ。」
「はあ！？」

（認知と養育費！？？）







そう言ったのは、泣いている祖母の背中を優しく撫でている男。







（瑞希お兄ちゃんのそっくりさん―――――――――――！！）

「な、んで、俺の認知と養育費の話になるんだよ・・・！？」







混乱しつつも、総長モードになる私。







「覚えてないんだよ、親父は。」
「はあ？」







そんな私に、フーとため息交じりに瑞希お兄ちゃんと同じ顔の人物は言った。







「単刀直入に言う。親父は女癖が悪すぎて、浮気相手の顔と名前をいちいち覚えてないんだ。」
「はあ！？」
「真田瑞希の母親のことは覚えてたが、凛道蓮の母親のことは覚えてねぇーんだとよ。」
「そうなんだ！！だから頼む！！蓮のお母さんの特徴を！！ヒントをくれ！！」
「はああああああああああああ！！？」







口ひげの言い草に、私の中の何かがキレた。










（女舐めてんのかテメ――――――――――！！！？）

「女舐めてんのかテメ――――――――――！！！？」


「おんぎゃああああああああああああああああああああああ！！？」

ゴス―――――――ン！！

「二三人！？」
「二三人ぉ！！」
「二三人君！？」
「二三人さん！！」
「二三人～！！」
「二三人伯父さん！！」
「親父・・・。」
「うはははは！さすがや凛！！湖亀はんの手を振りきって、プロレスのマンハッタン・ドロップかけよったわぁ♪」










〔★別名、急所打ちとも言う★〕