彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
イライラしながら、口ひげエロ親父に対応していれば、静かな声が耳に届く。
「いじめの心配なら、本当にないのよ、凛道蓮君・・・・・!」
「檜扇湖亀(ひおうぎ こき)さん!?」
「祖母と呼んでくださいな。息子の子育てには失敗しましたが・・・・お嫁さんが良く出来た人で・・・・・彼女の方から、瑞希ちゃん達の面倒を見たいと申し出て、一緒に暮らしましょうと言ってくれたのですよ・・・!ねぇ、柊護(しゅうご)ちゃん?」
「おばあ様の言う通りだ。おふくろは、オヤジの女狂いの病気を理解した上で、俺と平等に扱いたいと言ってる。」
「それ、世間では夫の女癖の悪さを直すことを諦めたと言いませんか?」
「諦めちゃいないさ。女癖の悪さも含めて、親父が好きなんだと。」
(変人だ・・・!)
私だったら、我慢できない。
好きな人が、自分以外に好き人を作るとか、絶対に嫌。
(というか―――――――――)
「あなたは平気なんですか、檜扇柊護(ひおうぎ しゅうご)さん?」
「あん?なにがだ?」
「真田瑞希様と一緒に暮らすと言ってるご両親の意見に、賛成できてるんですか?」
「おばあ様が喜ぶならそれでいい。」
「じゃあ、檜扇湖亀(ひおうぎ こき)さんが反対すれば、あなたも反対派に回りますよね?」
「私は反対などしません。私は、瑞希ちゃんと一緒に暮らしたいのです。」
「母さん!!」
そう言ったのは、か抜き野郎の母親。
「私が―――――――――柊護(しゅうご)ちゃんとその母であるお嫁ちゃんにわがままを言っていることはわかっています・・・・それでも、瑞希ちゃんと一緒に暮らしたいのです・・・・・!そして、息子の分まで、瑞希ちゃんに償いをしたいのです・・・!」
「・・・償いですか?」
「はい・・・。私の遺産は、正妻の子、愛人の子を問わず、平等にわけます。必要ならば、瑞希ちゃんを私の養子にして財産を譲ります。」
「はあ!!?何言ってるんだ、母さん!!そんなことしたら、俺の取り分が減るじゃないか!?」
「黙りなさい二三人・・・。身から出た錆でしょう?心配しなくても、柊護(しゅうご)ちゃんも養子にします。いずれは、舟槙(しゅうま)ちゃんもです。」
「姉さん!?」
「む、息子を!!私の舟槙(しゅうま)を、伯母様の養子にですか!!!?」
「俺が大叔母様の子供になれるの!?」
驚く高野健の面々に、暖かなまなざしでうなずく老婦人。