彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「瑞希を母さんに会わせてくれて、俺に謝罪の場を作ってくれたら、このアルバムを1冊凛道蓮君にあげよう!!!」
(やはりそうきたか・・・・・・!!)
瑞希お兄ちゃんの貴重な写真をエサに、私を奴隷のごとく使う気ね!?
そう思ったので、賭けに出た。
「断ると言ったら?」
「アルバムをもう1冊追加しよう!!」
「はあ!?」
アルバムを、廃棄するとかじゃなくて、増やすですって!!?
「凛道蓮君が交渉に応じるというまで、出血大サービスで瑞希の写真を用意しよう!!」
「くっ・・・・・!!」
こいつ・・・厄介な戦法を使いやがるな・・・でも―――――――――
「俺がものにつられて、真田瑞希様を悲しませると思ってるのか?」
「そんなことをいうなら、写真はすべて焼却処分をするぞ!?」
「親のくせに、実の息子の思い出を、簡単に燃やせるとは恐れ入るぜ!!檜扇湖亀(ひおうぎ こき)さんの遺産をたくさんもらうために、瑞希お兄ちゃんと仲直りしようという魂胆が見え見えだぞ!!?」
「なっ!!?こいつ~!!言わせておけば、好き勝手を言いやがって!!大人をなめるのもいい加減に――――――――――!!」
「二三人、いい加減にしなさい。」
「母さん!?」
口ひげの言葉を止めたのは、檜扇湖亀(ひおうぎ こき)さんだった。
「もう十分・・・・・・わかりました。」
「わかったって、母さん!!?」
「凛道蓮君、ごじゅうあらしやまと君、今日はお見舞いに来てくれてありがとう。」
「・・・いえ。」
「うははは!そんな、そんな、こちらこそ!」
「私が・・・・・・瑞希ちゃんに嫌われてしまったのも無理はありません・・・。世間を気にして、ずっと、何もしてきませんでしたから・・・。」
うなだれながら語る姿は、哀愁を誘う。
「瑞希ちゃんが私に会っても良いと思ってくれるまで・・・・頑張って長生きしますわ。」
「・・・あなたの方から、瑞希お兄ちゃんに会いに行くことは不可能なのですか?」
さっきから聞いてれば、瑞希お兄ちゃんに出向いて来いとばかり言う檜扇の人達。
「それが出来れば、とっくに姉さんの方から会いに行ってるよ!」
そう言ったのは、老女の弟。
「姉さんは出歩ける身体じゃないんだ!!そんな体力も、ほとんど残ってない弱弱しい身体なんだ!弱っちまってるのに・・・!!気の毒でならねぇ!!」
下唇をかみしめると、片手で顔を覆ってしまう高野槙雄(こうや まきお)さん。