彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





「槙雄・・・あなたが気に病むことはないのよ・・・。」
「だけど姉さん!!真田のせがれに会いたいんだろう!?」
「お義父さんの言う通りよ!!」
「代佳(よか)ちゃん!!」
「伯母様はもちろん、実の父以上に尊敬してる槙雄お義父さんが、ここまで心を痛めてるのよ!!?あなたは何とも思わないの、凛道蓮君!?」
「思わないです。」
「なっ!?あんたも、二三人さんの悪いところが遺伝してるパターンなの!!?少しぐらい!!1度でもいいから、伯母様に会いに来てくれたっていいじゃないの!!?」
「代佳子ちゃんまでやめて。これ以上、凛道蓮君を困らせてはダメですよ・・・。」
そう言うと、優しいまなざしで、檜扇湖亀(ひおうぎ こき)さんは私に言った。
「最期が近いから・・・きちんとしたかったの。瑞希ちゃんに、ちゃんと遺産の話をしたかったのだけど・・・ダメみたいね・・・。」
「!?相続問題のために、瑞希お兄ちゃんと会いたいというのですか!?」
「・・・。」





私の問いに、ベッドの上の老女はうつむいて黙る。







「檜扇湖亀(ひおうぎ こき)さん!」
「・・・ごめんね、凛道蓮君。ばあば、少し疲れたみたいだから、休ませて下さいな・・・。」
「え!?あ、そうですか・・・わかりました・・・。」
「あなた本当に素直な良い子ね・・・・・瑞希ちゃんが溺愛する気持ちがわかるわ・・・・・。」
「溺愛なんてそんな!!僕なんかを、瑞希お兄ちゃんが―――――」
「大事にしてる。ばあばには、それだけはよくわかるわ・・・・!あなたに、凛道蓮君に会えてよかった・・・。」
「檜扇湖亀(ひおうぎ こき)さん・・・。」
「柊護(しゅうご)ちゃん、舟槙(しゅうま)ちゃん、凛道蓮君とお友達を、1階の玄関までお見送りしてちょうだい・・・。」
「はい、おばあ様。」
「はい、大伯母様。」
「え!?いえ、いいです!お気持ちだけで結構です!」







気まずかったので断りを入れるが、老婦人は静かに言葉をつむぐ。









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