彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





「そう言わずに、年寄りのお願いを聞いてちょうだい。柊護(しゅうご)ちゃんと舟槙(しゅうま)ちゃんは、私が特に可愛がってる子なの。目の中に入れても痛くないほど大事な子だからこそ、凛道蓮君達を見とどめる役目をさせたいのよ・・・」
「それは・・・」
「うははは!凛!お言葉に甘えようや!な!?」
「・・・ヤマトがそう言うなら・・・1階の玄関まで、よろしくお願いします。檜扇柊護(ひおうぎ しゅうご)さん、高野舟槙(こうや しゅうま)さん。」
「・・・ああ。」
「こちらこそ、よろしくね♪」





私のあいさつに、不愛想な返事をする孫と愛想よく笑いかけてくれる元不審者。






「では、おばあ様、失礼をします。」






孫の方はそう言うと、膝枕をやめて、ベッドから立ち上がる。
そして、私達の横を通り過ぎざまに言った。






「ついて来い。」
「あ、はい。」
「うははははーい!」
「それじゃあ大伯母様、お見送りをしてきます。」
「いってらっしゃい、柊護(しゅうご)ちゃん、舟槙(しゅうま)ちゃん。頼むわね・・・。」
「・・・はい。」
「はぁーい♪さあ、行きましょう、お2人さん!」
「はい・・・どうもお邪魔しました。これにして失礼致します。」
「うはははは!失礼しまーす!!」
「ええ・・・さようなら・・・」






弱弱しく手を振る姿に、後ろ髪を引かれる。
でも、情けは無用とばかりに、老女に背中を向かる。







「凛道蓮君!!」







口ひげエロ親父に名前を呼ばれたが無視した。
返事をしたら、何を言い出すかわかったものではない。
部屋から出る時、目だけで檜扇湖亀(ひおうぎ こき)さんを見る。
夫に体を支えられつつも、こちらを見ながらニコニコしていた。







(・・・・・瑞希お兄ちゃんは、おばあ様の良さが遺伝したのかな?)







そう思いながら、病室の外に出れば、まだ失礼な集団がいた。
私を見て、ヒソヒソ話しているが、こちらも無視することにしたのだが―――――――







「みなさん、本日もご足労頂き、ありがとうございました!!」


(え!?)







高野舟槙(こうや しゅうま)さんが失礼な集団に話しかける。
途端に、ヒソヒソ話をやめる老若男女達。








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