彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
檜扇柊護(ひおうぎ しゅうご)さんと高野舟槙(こうや しゅうま)さんに見送られ、千葉総合医療病院を後にする私とヤマト。
「口ひげエロ親父が瑞希お兄ちゃんに会いたい理由、遺産が絡んでいたのですね。」
「うはははは!目の色変えて、金の話しとったもんなぁー!?」
ヤマトの単車のタンデマーを握る力が、自然と強くなる。
(お金を持ってる祖母の印象を良くするために、自分の遺産の取り分を多くするために、ずっと放置していた瑞希お兄ちゃんにすり寄ろうなんて―――――――許せない!!)
「うはははは!凛!真面目な話、どないするー!?ばあさんの願叶えるかー!?」
「・・・・・・・・・叶えません。」
「叶えんの!?うはははは!意外やなぁー!?めっちゃ、同情しとったから、会わせる思うたのにー!?」
「・・・最初は・・・弱弱しくなく姿に同情しました。でも、祖母さんだって、会おうと思えば瑞希お兄ちゃんに会うことも、世話をすることもできたのに、今日までしてこなかったじゃないですか?」
それなのに―――――――――
「自分が病気で弱ったとたんに、思い出したかのように『瑞希ちゃんに会いたい』って―――――馬鹿にしてんのかよ!?」
「うはははは!凛が冷静でよかったわー!その感想が、正しいで!!そもそも、息子に嫁さん以外の子供を作るのを許しとるとこも、ダメ親やから、助けんでええとわしは思ってたねん!」
「瑞希お兄ちゃんの原料は着信拒否して、舟槙(しゅうま)さんの電話番号には、連絡しないことにします。」
「それがええ、それがええ!瑞希はんには報告するかー!?」
「ゆ、勇気が出ましたら~」
「うはははは!よっぽど、テーブルに穴開けた姿、怖かったんやなぁー!?あのテーブル、それなりに厚みもあるのに、片手で開けよるとはそうとうやで~!」
「迅速な『ほうれんそう』が大事だとはわかってますが、今日報告する勇気が出ません・・・嫌われたら、どうしよう・・・!」
最悪の事態を口にすれば、あっけらかんとヤマトが言った。