彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「うはははは!そなもん!わしに無理やり引きずられて連れていかれましたーって、言えばええやん!?」
「嫌です!そんなことしたら、ヤマトが怒られるじゃないですか!?」
「うはははは!五十嵐ヤマトは凛道蓮の身代わりになっても、気にせんでぇー!?総長なんやから、特攻隊長を好きに使ったらええやんかぁー?」
「ヤマト!僕らは仲間なんですよ!?僕は仲間を、大親友を大事にしたいのです!!」
「うはははは!ほな、凛の勇気が出た時は、一緒に報告に付き合うわ!大親友やからのぅ~!?」
「ありがとう、ヤマト・・・!」
「うはははは!えーねん、えーねん!そろそろ着くでー!下りる用意しぃ!」
「うん!」
その言葉で、フェリチータとの距離が縮まっていることに気づく。
同時に、いつもは会いたい瑞希お兄ちゃんと、顔を合わせずらい気持ちになっていることにも気づいた。
(・・・・・・・祖母さんに瑞希お兄ちゃんを会わせないと言ったけど・・・・・・本当にそれでよかったのかな・・・・・・。)
硬派は弱者に優しくだけど―――――
(直接瑞希お兄ちゃんから、祖母さんを避ける理由は聞いてない。)
「うははは!凛!凛!先に中に入らんと、わしと一緒に入るかー!?」
バイクを止めたヤマトが、気遣ってくれた。
それに私は、笑顔を作って首を横に振る。
「ありがとう、大丈夫だよ、ヤマト。」
「わーった!ほな、気を付けてやー!?家の中に入るまでが、戦やからなぁ~!?うははは!」
「大げさだなぁ~大丈夫だって!」
ガレージの前に泊まったヤマトの単車から、ひらりと地上に降り折る。
「じゃあ、先に行くね。」
「うはははは!いつも通りにせーよ~!?」
「わかってるよ~!」
ヤマトに背を向けて、出入り口として使っている裏口に進んだ時だった。
「突撃―――――――――――――――!!」
「へ!?」
そんな野太い声に合わせ、花壇や電柱、路上駐車してある車の影、フェリチータの庭の中から、フルフェイスヘルメットで顔を隠した人達が出てきた。