彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
普通の女の子だったら、ギャップ萌えしそうなギャップだった。
それに甘える形で―――――――私はヘルメットマンさんの膝の上で、恐る恐る相手にしがみつく。
これにヘルメットマンさんは、私を振り払うことはなかった。
抱き合った。
ただただ、抱き合った。
生還を称えあうハグをした。
ブロロロロロン!ブロ―――――――――――――――――――――ン!!
「凛っ!!!!」
しかしそれも、瑞希お兄ちゃんの声で終わる。
「瑞希お兄ちゃん!!!!」
「生きてるか凛!!!?」
「凛た―――――ん!!」
ブロロロロロン!ブロ――――ン!!
ヴォ―――ンヴォ―――ン!!
瑞希お兄ちゃんの単車が、私達の方へと迫る。
それでヘルメットマンさんが私を膝から降ろす。
「あ、ヘルメットマンさん!!?」
「・・・。」
うつむいた状態で、私をお姫様抱っこして単車から降ろした。
「ヘルメットマンさん!?」
顔を見せない姿勢に、うつむいていることに、私は心配になった。
「どうしてこちらを見ないのですか!?怪我でもしたのですか!!?」
そう聞きながら顔をのぞき込めば、そっぽを向かれる。
そっぽを向いた方を見れば、明後日の方向を向いてしまう。
「ヘ、ヘルメットマンさん!!」
「・・・!」
ヘルメットマンさんが、シッシッと手で私を追い払う。
ギュウオン!!ギュウオン!!
エンジンをかけて、そのまま走り去ろうとするヘルメットマンさん。
お礼もまだなのに、立ち去ろうとする命の恩人!!
「待って!!行かないで!!ヘルメットマンさん!!」
その時、足がもつれて、ヘルメットマンさんのバイクへと倒れこむ。
「わきゃ!?」
「!?」
それに気づいたヘルメットマンさんが、私の身体を抱きとめてくれた。
それでお互いが顔を合わせることになる。
「えっ!!?」
「っ!!」
相手の顔を見た瞬間、私は衝撃を受ける。