彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
フェリチータに新旧龍星軍が帰還したところで、さっそく『檜扇柊護(ひおうぎ しゅうご)』についての話が始まった。
あくまで、ヤマトと雷太は巻沿いを食ったという前提で、凛道蓮の判断で動いたと話した。
瑞希お兄ちゃんの関係者に声をかけられたことから始まり、その父親に会い、懇願され、祖母へのお見舞いに行ったことも話した。
弱り切った祖母に会い、感じの悪い親戚集団に会い、大叔父(おおおじ)、いとこ違い、はとこ、そして――――――――――孫だという『檜扇柊護(ひおうぎ しゅうご)』に会ったと話した。
はとこから連絡先も貰ったとも伝えた。
そして本題である、『孫の瑞希と暮らしたい』という祖母の気持ちを瑞希お兄ちゃんに知らせた。
私が話している間、瑞希お兄ちゃんは仁王立ちして腕組みをし、眉間にしわを寄せて、私を見つめながら聞いていた。
時折、顔を、口元をゆがめたりもした。
いつもと違う瑞希お兄ちゃんに、新旧龍星軍の誰もが、静かに話を聞く。
口を開く者などいない。
円城寺君でさえ、口出しをしなかった。
しなかったというよりも、できないような様子であった。
みんな、瑞希お兄ちゃんがいつもと違うということを、肌で感じ、本能で理解し、空気で察していた。
1人烈司さんだけが、キッチンでみんなの分のドリンクを作って出してくれた。
私の前にも、『カッフェ・ドルゾ』を出してくれたけど、とても飲む気になれなかった。
「―――――――以上が、『檜扇柊護(ひおうぎ しゅうご)』さんの、檜扇家と僕が関わることになったいきさつです。」
「・・・。」
話し終えても、瑞希お兄ちゃんは何も言わなかった。
「あ、あの・・・ご報告が遅くなってしまってごめんなさい!!すぐに言うつもりだったのですが、不審者のバイクに僕が捕まってしまい、話すのが遅れてしまいまして・・・!」
「はぁ―――――――――――――――・・・・・・・・・・・・。」
瑞希お兄ちゃんは、腕組みをしたまま、深くため息をつく。
それで私を見ていた双璧が閉じられ、目元のしわが一層目立って見えた。