彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「さ・・・差し出がましいこととは思いますが、弱っているおばあ様へのお見舞いに、1度はいかれたらいかがでしょうか・・・?」
「!!?凛たん、よせ!!」
「なめてんのかコラッ!!!?」
ガッターン!!!
烈司さんの静止と、瑞希お兄ちゃんが怒鳴りながら椅子を蹴り飛ばすのは同時だった。
「写真で買収されやがってボケが!!!」
グワッシ!!
「あう!?」
青筋を立てた怖い顔で怒鳴ると、私の胸倉をつかんで持ち上げた。
「凛っ!!」
「瑞希はん、なにすんねん!?」
「みーちゃん、やめて!!」
カンナさんとヤマトとモニカちゃんの声がした。
でも、それ以上に瑞希お兄ちゃんの声が大きかった。
「俺の写真が欲しけりゃ、俺に言えばいいだろう!!?ゴミからもらうとはどういう了見だクソが!!?」
「うっ!?うぐ・・・う・・・!?」
片手で胸倉をつかみながら、反対の片手であごを掴まれ、揺さぶられた。
「何が見舞いだバカ野郎!!くたばれ強欲ババア!!凛テメー!!!檜扇に味方なんかしやがってよー!!!?」
「ち、ちが!ぼく、瑞希お兄、ちゃんの、味方・・・!」
「―――――――――ふざけんじゃねぇくそったれ!!!!」
ガクガクと、身体を揺らされる。
「ふざけんなよ凛っ!!!!」
「あう、ああああ!!」
胸倉をつかまれて呼吸が苦しくなり、あごを掴まれたことで骨が砕けるんじゃないかという痛みが走る。
「瑞希!!もうやめろ!!」
「やめてよ、みーちゃん!凛ちゃんが怪我しちゃう!」
「凛道を離せ、瑞希!!」
「凛助ぇ!!」
「凛を放して下さい、真田先輩!!」
「瑞希はん、離して!!」
「凛先輩離せよ!!」
「凛さん!」
「リンリン!!」
「我が君!!」
「――――――――――――――うるせぇ!うるせぇ!!どいつもこいつも、うるせぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
初代龍星軍メンバーに抑え込まれた瑞希お兄ちゃんが、私から手を離す。
離すというよりも、私を突き飛ばす。
ドンッ!!
「あう!?」
「凛っ!!」
「凛さん!!」
「凛先輩!!」
瑞希お兄ちゃんに突き飛ばされた私を、体格の良いヤマトと可児君と雷太が3人がかりでキャッチしてくれた。