彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「大丈夫かよ、凛!?」
「リンリン!平気!?」
「我が君、しっかり!」
他の仲間が駆け寄る中、座り込んだ私が瑞希お兄ちゃんを見上げる。
瑞希お兄ちゃんは、怖い顔を維持したまま、私をにらみつけていた。
こんなことは初めてなので、身体が固まってしまった。
硬直し、瑞希お兄ちゃんから目を離せずにいたら、私の好きな人は仰った。
「俺がいいって言うまで、凛はここに来るな!!!」
「え!!?」
初代龍星軍の先輩、4人がかりで抑えられた状態で、瑞希お兄ちゃんは私に言った。
「オメーは、俺の視界に入るな!!俺の目の前にくんなっつってんだよ、凛!!!!」
「瑞希お兄ちゃん!!?」
「おい、瑞希!?」
「みーちゃん、言い過ぎよ!?」
「凛道は悪くないだろう!?」
「凛助に八つ当たりかよ!?」
「うるせぇ!!うるせぇ!!う―――――る―――――せ―――――ぇ―――――!!!!」
「「「「あっ!?」」」」
大声で叫び、烈司さん達4人の拘束を振りほどくと、私を見下ろしながら告げる。
「出て行け凛!!!今すぐだっ!!!!」
「瑞希お兄ちゃん・・・・!!?」
(で・・・・出て行けって・・・・!?)
「俺の前から消えろっ!!!!」
それ私に言ってるの!?
私に言ってるの!?
私にこの場から―――――――――――!!?
「出て行け凛道蓮っ!!!!」
「~~~~!!?瑞希お兄ちゃん、ごめんなさいっ・・・・・・・!!!」
出て行けと、私に言ってるんだ!!
いたたまれなくなり、素早く立ち上がると、一目散に裏口へと向かう。
「凛!!」
「凛たん!!」
「凛、待ちや!!」
「凛ちゃん!!」
「凛さん!!」
「凛道!!」
「凛先輩!!」
「リンリン!!」
「我が君!!」
「凛道・・・!」
「凛道君!」
「りんどー!!」
「凛助ぇ――――――――――!!!」
後ろから、みんなに声を呼ばれたけど、振り返れない。
一番呼んでほしい人の声が聞こえない。
(――――――――――――嫌われた!!)
好きな人を怒らせた!!
(瑞希お兄ちゃんを怒らせて、嫌われてしまった―――――――――――!!!)
「うっ・・・うっ、うっ、うっ!」
そう思ったら、涙がボロボロ出てきて―――――――――止まらなくなる。
「うえぇぇ・・・うぇぇえぇ・・・ふえぇええ・・・!」
悲しくて悲しくて、つらくて、泣きながら走った。
フェリチータから離れたのだった。
~花に嵐!!檜扇一族との面会!!~完~