彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「使え。」
「カンナさん。」
「使ってくれ、凛。」
「・・・ありがとうございます。洗って返しますね。」
「いいよ、やるよ!持ってろ!」
そう言いながら、差し出したハンカチで私の目元を拭いてくれた。
「あの!自分で、できま――――――!」
「いいから世話やかせろ!」
そう言って目元をぬぐった後で、ハンカチを私のポケットに押し込むカンナさん。
「泣けてきたら使えよ!?」
「・・・うん、ありがとう、カンナさん。」
「それで?これからどうする?」
「秀君?」
落ち着いたところで、声を上げたのは静観していた龍星軍の特攻隊長補佐。
「こんなところに突っ立ってても、どうにもならない。移動しないか?」
「だったら、あたしらのたまり場―――――――――!」
「副総長である俺の家に来て頂く!!!」
カンナさんの声を可児君が遮る。
「凛さん、よろしいですね!?」
「待てよ可児!凛には、あたしらのたまり場に来てもらう!」
「俺は許可ねぇぞ、カンナ!!」
「大河!?」
「爆裂団のたまり場に、龍星軍の頭を連れていく許可は出せねぇ!!」
カンナさんの提案を円城寺君は拒否した。
これにカンナさんは、八重歯をむき出しにして突っかかる。
「なんでだよ!?なんでダメなんだよ!?」
「初代総長の言葉に従わず、自滅したアホを俺の縄張りに入れたくないからだ!!」
「なんだと!?」
「――――――――アホとは、我が君のことか?」
ガシッ!
迅速に動く人影。
「つなぐ!?」
カンナさんが聞き返すと同時に、円城寺君の胸倉を忍者が掴んでいた。
グッと引き寄せると、メンチを切りながらつなぐは問いただす。