彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)



私の説明に、檜扇湖亀さんだけでなく、他の男性2人も興味を示す。
とりわけ、舟槙(しゅうま)さんが興味津々で聞いてきた。



「蓮クン、これは岩崎商店というメーカーの石けんなのかい?」
「そうです。1輪から販売していて――――――・・・あれ?石けんだから、数え方は1個かな?」
「どちらでもいいわよ!私、とっても気に入ったわ♪きれいなピンク色が可愛いわね~♪」



少女のように笑う老女に私は告げる。



「他にも黄色や青色などもあります。ネット販売をしているお店で、岩崎商店の方には3個入りと15個入りが、Amazonには5個入りも販売されていたのですが、檜扇湖亀さんは初めて使われるかもしれないし、手にあわなかった時に困ると思って、今回は1つだけにさせて頂きました。見て楽しんだのちに、気が向きましたら、お試しに使ってみてもらえれば幸いです。」
「使うわ!もちろん、使うわ、凛道蓮クン!今日の食事の前に、さっそく使わせてもらうわね!?」
「ご無理なさらなくていいですよ。受け取って頂けただけで嬉しいですから。」
「まあまあまあ!なんて謙虚で優しい子なんでしょう!!とても二三人の子供とは思えないわ!本当に良いお母様なのね!!」
「か、母さん!!」
「うるさいわよ、二三人。気やすく私を呼ばないで!!」
「ぐっ!?」



ウキウキしながら言う母に、情けない息子を見て思う。





(ザマ―みろ、クソ野郎♪)

さんざん、瑞希お兄ちゃん母子をないがしろにしてきたバツだ。





〔★凛は二三人の不幸を喜んでいる★〕





「おばあ様、無理に今日使わないで、しばらく目で楽しんだらいかがですか?」

(檜扇柊護(ひおうぎ しゅうご)・・・)





はしゃぐ祖母に孫が言えば、それで少しだけ落ち着く老女。





「そう?そうねぇ・・・すぐ使いたい気持ちはあるけど、キレイだからすぐ使うのはもったいないし―――――――――そうね!数日見て楽しんでから、使うことにするわ!それでもいいかしら、凛道蓮クン!?」
「湖亀さんのお好きなようになさって下さい。そちらの所有権は、もう湖亀さんにありますから。」
「ありがとう、凛道蓮クン♪本当にありがとうね~♪」
「恐縮です。」





ニコニコいう姿からは、魑魅魍魎さなどみじんも感じない。

(・・・鳥恒先生が大げさに言い過ぎてるのか、それとも湖亀さんに演技力があるのか・・・判断が難しいところのね・・・)





作り笑顔でそんなことを考えていれば、頬を染めた湖亀さんから言われた。






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