彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「あの・・・ね、凛道蓮クン・・・あなたのこと、『蓮ちゃん』と呼んでもいいかしら?」
「はい、かまいませんよ。」
「じゃあ、蓮ちゃんも―――――――私のことは、もっと親しい呼び方をしていいからね?」
「親しい呼び方、ですか?」
「そうよ♪」
「・・・わかりました。じゃあ、湖亀さん。」
「え!?そ、そうじゃなかったんだけど・・・・・・」
「あ、湖亀夫人ですね。」
「いえ、その~」
「湖亀奥さまですか?」
「・・・・・今は、湖亀さんでいいわ。」
「?わかりました。」
落ち込む相手を見て思う。
(私、何か変な発言でもしたかな??)
いくらフレンドリーにと言われても、おばあちゃん世代の人を呼び捨てにすることはできない。
だから、『湖亀さん』という呼び方が、最も親しいと思う。
〔★凛は相手が、凛を自分の孫だと思い込んでいることを忘れている★〕
「おお!ググったら出てきたぞ、岩崎商店!俺だったら、このソープフラワーセットを注文するぞ、蓮!?」
「はあ?」
そう言って声を上げたのは、スマホ画面を私に見せながら近寄ってきたクソ野郎。
最初はロマンスグレーに見えたが、今の私には口ひげの汚いクソジジイにしか見えない。
視界に入るだけで不愉快になる。
気分が悪くなる。
「蓮!お前少し、顔色が悪くないか?」
(あんたが真横にいるせいだよ。)
「蓮!!せっかく、高度な医療設備の整っている病院に来ているんだ!今から、健康診断を受けなさい!!」
「はあ?なに言い出すんですか?」
「いいから、いいから!ちょっと受けてみよう!なぁ!?」
「な!?放して下さい、困ります!結構です!」
「なんだお前!?持病でもあるのか!?それはよくないぞ!すぐに精密検査を―――」
「受けるのは、あなたの方じゃないですか!?すみませんが僕、ちょっとお手洗いに行ってきます!」
しつこい相手を振り切り、距離を取って離れる私。
それで舟槙(しゅうま)さんが、慌てたように言ってきた。