彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
「あ、ついて行こうか、蓮クン!?」
「1人で大丈夫です、舟槙(しゅうま)さん。」
「お父さんがついて行こうか、蓮!?」
「誰がテメーの息子だ!1人にしろ!!」
「そう言うな、蓮!親子水入らずで連れションを~!」
「二三人、いい加減にしなさい。」
ぴしゃりと湖亀さんが言えば、動きを止めるクソ野郎。
「か、母さん!親子のスキンシップを邪魔し――――――」
「この場で邪魔はあなたよ、二三人。帰ってもらいましょうか?」
「そ、それは困るよ、母さん!」
「じゃあ、ここで蓮ちゃんを私達と待つのよ。ごめんなさいね、蓮ちゃん。ゆっくりいってらっしゃい。ばあばは、待ってるからね?」
「・・・ご親切はありがたいですが、孫じゃないです。」
「蓮クン!」
そう伝えて会釈し、素早く背を向ける。
振り返る時に視界に映った湖亀さんは、悲しそうな顔をしていた。
本当にいたたまれなくて、足早に病室から出る。
廊下に出れば、いっせいに、外にいる親戚たちの視線が集まる。
(うぜーシカトしよう。)
そう思ったら、こちらに聞こえるような声で奴らは話し出した。
「あの凛道蓮と言うガキは、本当に二三人の息子なのか~!?」
「本人が心当たり有りすぎるらしい!」
「愛人の子にまで遺産をやれば、こっちの取り分が減るわ!」
「・・・はあ?」
(まだ孫だと勘違いされてるんか――――――――――――――い!!!)
〔★誤解は解けず、拡散していた★〕
なにそれ!?意味わからないんですけど!?
金の亡者の集団に文句を言おうと思って――――――――やめる!!
ゴキブリ1匹殺しても意味がない!
ゴキブリのもとである発生元から絶たないと意味ない!
(どうする!?)
明確に誤解を解くとなると、身元を明かす必要がある。
考える時間が必要だった。
だから、トイレの方へと移動しながら考える。