彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
(そもそも、瑞希お兄ちゃんが私を弟みたいと仰って下さった結果、実の兄弟という流れになってしまっている・・・・・・・!!)
悔しいが、そこから否定しなければいけないのだろうか・・・!?
(愛する方が、せっかくつむいでくださった特別扱いの言葉を否定しろと!?)
でもそうしないと、ややこしいことになってしまう。
(下手をすれば、私も檜扇二三人の子供にカウントされ、遺産相続のメンバーに選ばれてしまう!!)
てか、すでにそういう状況に陥ってる!?
すぐさま誤解を解かなければ、身バレに直結するじゃないのよ!!
(誤解を解くなら、今しかない!!なんとか、言葉だけで説得を試みるしかない・・・!!)
説得するにしても慎重にしないと、私の性別と偽名がバレる危険がある。
(女の子だと瑞希お兄ちゃんに隠してたことが、このタイミングでバレてしまったら、本当に取り返しのつかないことになってしまう―――――――!!)
冷や汗が出る。
バリアフリーの男女兼用トイレに入ってみれば、出ないと思っていた尿が出た。
体からアンモニアが逃げ出すのはいいが、瑞希お兄ちゃんに逃げられるのも嫌だ!!
(それをさけるためにも――――――――――私の恋愛ライフを守るためにも、すべてをかけて誤解を解くしかない!!)
そう決意して、温水で手を洗い、ハンカチで手を拭き、トイレから出る。
一直線で、檜扇湖亀(ひおうぎこき)さんの病室に戻った時だった。
「今日は、お帰り下さい。」
「なんでよ!?なんで仲間外れにするの!?権利あるでしょう!?」
「騒がないで下さい!」
「落ち着いて下さい!」
「騒ぐよ!落ち着けないよ!無責任すぎるから、私、怒ってるよ!?」
(な、なに??)
病室の前が騒がしかった。
見れば、外国人男女3人と、舟槙(しゅうま)さんと檜扇二三人のSP2人が言い争っていた。