彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





「可児君、お願いします。」
「押忍!!凛さん!!――――もしもし、慶良寺です。・・・・・あん、またテメーか?二度とかけてくんなや!!」

ガチャン!!


(どうしよう・・・電話を替わらないことに、罪悪感を覚え始めてきた・・・)


プルルルル!プルルルル!


「うははは!8回目キタ――――――」
「よく続けてかけて来れるな!?通信料、バカになんないだろう!?」
「金に糸目はつけてねぇのかもな。」
「可児君、お願いします。」
「押忍!!凛さん!!――――もしもし、慶良寺です。・・・・・あん、またテメーか?二度とかけてくんなや!!」

ガチャン!!


(ダメよ、凛!情にほだされちゃ、ダメ!悪いのは、勝手に私の身元を調べようとした相手よ!)

心を鬼にして、可児君に電話を出続けてもらった結果―――――――――――



プルルルル!プルルルル!



「うははは!祝・16歳の凛と同じ年齢の16回目がキタ――――――」
「執着心すげーな、オイ!?」
「久々にドン引きだぜ。」
「まさか、こんなに掛けてくるなんて・・・!!」
「凛さん・・・もうシカトしませんか?」





疲れた顔で言う可児君に申し訳なくなる。





「ごめんね、可児君。嫌な役を押し付けちゃって・・・」
「そんなそんな!!凛さんは悪くないっす!!悪いのは高野のストーカー野郎です!!」
「うははは!ハゲ君の中では、ストーカー認定かいな!?」
「ストーカーだろう、ラジオ野郎!!凛のためにも、電話線切ろうぜ!?」
「賛成だな。このままじゃ、イタチごっこだぜ。」
「待って下さい!!」
「凛さん!?」
「凛!?」
「凛道?」
「うははは!どうする気や、凛!?」



ここまで・・・ここまで相手は頑張ったんだ。



「舟槙(しゅうま)さんの執念深さを、評価しようと思います。」
「まさか凛さん!?」
「嘘だろう、凛!?」
「電話に出る気か?」
「そうです。」
「うははは!お人好しー!せやけど、そこが好きー!」





仲間達が見守る中、長くなり続けている16回目の電話に私は出た。





〔★凛のお人好しが発動した★〕







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