彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
〈もしもし、お願いします!!凛道蓮クンの機嫌を直してもらうことと、こちらへの取次ぎを今すぐお願いします!!二度と、凛道蓮クンの身元を調べようとしませんから!!〉
「本当ですか、舟槙(しゅうま)さん?」
〈え!!?あ!?ええ!?蓮クン!?〉
「はい、凛道蓮です。」
〈蓮ク――――――――――――――――ン!!!やっと電話に出てくれた!!〉
「そりゃあ、僕の年齢と同じ回数だけ、かけてきましたらね・・・」
〈えっ!?14回もかけちゃってた!?〉
(誰が14歳だ!!)
と、言いたかったけど、身バレを防ぐために、あえて訂正せずに言った。
「舟槙(しゅうま)さん、僕のことを調べても、僕は赤の他人なので無意味です。何よりも気色悪いです。僕の中の舟槙(しゅうま)さんの存在は、ゾンビと同じです。」
〈確かにゾンビ、気持ち悪いよね!?てか、怖がられてる!?〉
「裏で何してるかわからない舟槙(しゅうま)さん怖―い。僕、舟槙(しゅうま)さんが怖いよぉ~」
〈!!?そ、そんなことないよ!!俺は、二三人伯父様と達比古大伯父様と違って、裏表はない人間だよ!!?〉
「自己申告ほど、信用できないものはありません。」
〈じゃあ、どうすれば、君の信用を取り戻せるんだい!?〉
「この電話番号に、二度とかけてこないで下さい。」
〈わかった!!かけないよ!!〉
「誓えますか?」
〈誓います!!〉
「では、連絡は僕の方からしますね。いいですね?」
〈え!?それは困るよ!〉
「困るとは?」
〈大伯母様の体調に変化があった時、蓮クンにはすぐにかけつけてほしい!だから蓮クン、常にンスマホの充電を100%にしておいてくれないかな・・・!?〉
(あー・・・・・そうきたか。)
わかってはいたけど、瑞希お兄ちゃんのためなら仕方ないよね?
「・・・・・・・・・わかりました。充電は常に満タンにしておきます。」
〈ありがとう!!これで、充電切れで連絡がつかないという事故は防げるね♪〉
喜びの声を上げる相手。
「よかったんすか、凛さん?」
「あたしは、充電は80%程度で良いと思うぞ!?」
「どうなっても、俺は知らねぇぞ、凛道。」
「うははは!」
聞き耳を立てて聞いていた仲間から、様々な声が上がる。
「いいんですよ。」
それに大丈夫だと小声で答える私。
そんな私達のやり取りに気づいていない舟槙(しゅうま)さんは、明るい声でしゃべり続ける。