彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
◇反社上等!!雨降って地固まる!!からの~恐怖の昔話!?◇
手袋をはめた手で花束を購入する。
寒いだけじゃなく、指紋が花束に残るのを防止するためだった。
ヤマトの単車で、千葉総合医療病院に向かう。
到着すれば、正面玄関で待ち合わせていた高野舟槙(こうや しゅうま)さんと合流した。
「蓮クン!!来てくれてありがとう!うわぁ~きれいな花束まで、本当にありがとう!!来てくれないんじゃないかと、すごく不安だったよぉ~!」
人目も気にせず、肩を抱きながら言ってくる相手に笑顔を向ける。
「約束は守る人間ですので。」
「ありがとう!!さあ、行こう!」
「はい。じゃあヤマト、また連絡するから。」
「うははははーい!いつでも、スクランブルかけてやー!」
ヤマトと別れ、エレベーターの前まで来たところで、舟槙(しゅうま)さんに聞かれた。
「蓮クン、今の男の子と仲が良いのかい?」
「そうですが、身元調査ですか?それなら帰りますが?」
「え!?ち、違うよ!!仲がよく見えたから、何気なく聞いただけで~もう君のことは調べてないから!!」
「ならいいですが。」
もう調べてない、ね・・・。
(それでもある程度は、私の情報を奪われてるわけか・・・・)
大丈夫かな・・・
(菅原凛まで、たどり着いてないといいけど。)
エレベーターに乗り込み、乗り換え、病室がある階に到着する。
今日も、病室の少し離れた場所に、銭ゲバの親戚集団が固まっていた。
私に気づいて、ヒソヒソし始めたけど、気にせずに挨拶をした。
「みなさん、こんにちは。」
だって、やましいことは何もないんだから。
「舟槙(こうや しゅうま)君、今日も愛人の子だけ、大奥様に会えるのかい?」
私のあいさつを無視して、親戚集団の1人が舟槙(しゅうま)さんに聞く。
それに舟槙(しゅうま)さんは真顔で言った。
「愛人の子という言い方はやめて下さい!大伯母様に知れれば、さすがの俺でもかばいきれませんよ!?」
「え!?そ、そんなに気に入られてるのか!?」
「そうです!ちゃんと、凛道蓮クンと呼んであげて下さい!!」
舟槙(しゅうま)さんの言葉に、私も銭ゲバ集団も驚く。
(そこまで私のこと、孫だと思い込んでしまっているんだ・・・可哀そう・・・)
なぜか、かわいそうだと思ってしまった。
〔★あまりないタイプの同情だ★〕