彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
◆白テープ上等!!ヤンキー相談室開幕!!!◆
湖亀という悪女の話を聞いた日の夜、私は瑞希お兄ちゃんの部屋に呼ばれた。
「凛、2人きりの男子会しようぜ。」
そう言われ、首に腕を回されて階段をのぼった。
この時、ヤマトと可児君とちーちゃんは、和室で鳥恒先生とシゲ先生と話をしていたので、瑞希お兄ちゃんが私に声をかける場面には居合わせていなかった。
しかし、烈司さんを含めた初代龍星軍は違う。
瑞希お兄ちゃんが私を誘うのを全員が聞いていた。
いつもなら、モニカちゃんから苦情が出るのに彼女は何も言わない。
ずっとスマホをいじっていて、こちらを見る事さえしない。
烈司さんはタブレットを見ていて、獅子島さんはパソコンを見ている。
百鬼に至っては、お客さん用に置いている新聞を逆さまで読んでいた。
それでみんなが、瑞希お兄ちゃんに気を遣っていて、瑞希お兄ちゃんのしたいようにさせているのだと理解した。
口出ししないで見守ってるのだと思った。
少しだけ百鬼を可愛いと思った。
〔★百鬼は誤魔化しが下手だった★〕
瑞希お兄ちゃんの部屋の前に来ると、扉を開けて先に入るように促された。
それに従い、先に入って電気をつける。
瑞希お兄ちゃんも室内に入ると、ガチャと部屋の鍵をかけた。
それだけで、私はドキッとしてしまった。
(瑞希お兄ちゃんと密室で2人きりになってしまった・・・・・!!)
ドキドキしながら立ち尽くしていれば、肩を叩かれた。
「なに飲む?」
「い、いえ、いいです。」
「遠慮すんな。つーか、一杯付き合えよ。」
そう言うと、部屋にある小型の冷蔵庫から2缶取り出す瑞希お兄ちゃん。
「え!?それって―――――――!?」
「本当は酒がいいが、酒は凛が成人してから一緒に飲むって決めてるからな。ノンアルコールだ。」
そう仰ると、2缶取り出したうちの1缶を、ノンアルコールの缶ビールの口を開ける。
「まあ、こっちきて座れよ。」
口の開いたノンアルコールを持ちながらベッドに腰かけると、隣に来るように私に指示する瑞希お兄ちゃん。
「は、はい。」
言われるがまま、瑞希お兄ちゃんの隣に座れば、口の開いたノンアルコールビールを渡される。