彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)





くっくっと笑いをかみ殺すと、私の目を見ながら瑞希お兄ちゃんは仰った。





「今の俺は、NON STYLE(ノンスタイル)みたいにイジリどころがなくて困るってか?」
「イジる!?いえ!そういうつもりでは~!!」
「あのクソ野郎は、嘘つきなんだよな。」
「え!?」
「俺のおふくろを妊娠させて俺を産ませた男のことだ。」





そう語る表情は、いつもの瑞希お兄ちゃんに戻っていた。







「あのクソ野郎・・・ちょいちょいと、ウソを盛り込んで話しやがるところがある。」







父親のことを、あえて父親と呼ばずにクソ野郎と表現する瑞希お兄ちゃん。





〔★並みならぬ恨みがこもっていた★〕





「俺は気にしねぇから凛、遠慮せずに教えてくれ。」
「な、なにをですか?」
「クソ野郎が凛に俺のおふくろのことをなんて話したか、だ。間違いを訂正しておかねぇと、あの世のおふくろが悲しむし、大事な凛には正しい情報を知っていてほしい。」



(『大事な凛』!!?)



私のことを大事だと仰って下さった!!

その上、お母様思いとは、なんてお優しいお方なのでしょう!!

改めて、瑞希お兄ちゃんに感動!!



〔★凛は瑞希の母のことではなく、自分のことを優先的に感動している★〕





「わ、わかりました!お心を傷つけたくありませんが―――――――言葉を選んでお伝えします!!」
「やっぱり、でたらめ言ってやがったな・・・!!おう、言ってみろ、凛!!」
「はい!二三人さ・・・クソ野郎は、瑞希お兄ちゃんのお母様とお付き合いする際は、自分が既婚者だとちゃんと話していたと供述しました!!」
「あのホラ吹き野郎!!やっぱり大ウソついてやがったか!!?」
「え!?じゃあ、既婚者だと話したうえでお付き合いをスタートさせたのは大嘘ですか!?」

それって、詐欺にならない!!?

犯罪になるでしょう!!?



〔★貞操権侵害として慰謝料請求が発生する犯罪です★〕



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